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KPI至上主義が共創を阻む。同質性を打ち破り「知的誠実性」を育む組織文化の作り方

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 不確実性が高まる現代において、組織文化はどうあるべきか。4月14日にアイディール・リーダーズでCCO(Chief Culture Officer)を務める宮森千嘉子氏と、BIOTOPE 代表の佐宗邦威氏による対談イベント「答えが見えない時代の組織文化の使い方」が開催された。両氏は、これまでの「VUCA」から「BANI」へと時代背景が移行したことを踏まえ、個人の「妄想(ビジョン)」を駆動力にするための組織文化のあり方について議論を展開。心理的安全性と知的誠実性の両立、日本企業に深く潜むモノカルチャーの壁、そして個人が生き抜くための「コミュニティの分散投資」など、次世代の組織と個人のあり方について語り合った。

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BANI時代はビジョンより先ずチームの「不安」を受け入れよ

宮森千嘉子氏(以下、宮森):今はVUCAと言われていた時代からさらに混迷を極め、「BANI」という時代になっていると言われています。外側はなんとなく形が整っているものの、中から脆く壊れていくような(Brittle)、生きていること自体が不安になるような(Anxious)、そして、理由と結果がつながらない非線形(Non-linear)で不可解(Incomprehensible)なこの時代において、「妄想(個人のありたい姿)」はなぜ改めて大事なのでしょうか。

佐宗邦威氏(以下、佐宗):僕にとってもBANIは重要なテーマです。VUCAの時代にはデザイン思考などがすごく効果的でしたが、特にこの2年のAIの進化や国際情勢の変化で、明らかに時代が一段変わりました。BANIの時代は、自分の立っている立ち位置自体が崩壊していくような感覚になり、その不安とどう向き合っていけばいいかわからなくなります。

 VUCAの時代を生きるためには「妄想」が大事だと思っていましたが、今いきなり「妄想せよ」と言われても難しいでしょう。生きるのにも必死な時代ですから。本当のありたい姿(妄想)を出すためには、まず自分が抱えている不安や恐れと向き合う必要があります。ですから、いきなりビジョンを掲げるのではなく、まずは自分一人ではなくチームや組織でお互いが持っている不安を受け入れること。その上で「本当はありたい妄想って何だろう」と考えていく順番が、これからの時代には必要になってきていると感じます。

株式会社BIOTOPE 代表 佐宗邦威氏
株式会社BIOTOPE 代表 佐宗邦威氏

心理的安全性はぬるま湯を生む? 真の共創には「知的誠実性」が不可欠

宮森:これだけ不安な中で自分のありたい姿を出したくても、本当にできるかわからないし、人に言っていいのかどうかもわからない時代です。だからこそ「妄想してもいいんだよ」「ここにいていいんだよ」という仲間づくりや場づくりが重要ですね。

 ただし、心理的安全性があって安心しているだけだと、組織は「ぬるま湯」になって成長が止まってしまいます。そこで重要になるのが、自分が違っているなと思ったら「違っているよ」と言える環境、つまり「知的誠実性(Intellectual Honesty)」です。ブリガムヤング大学の研究でも、心理的安全性と知的誠実性の双方が高い組織こそが、真の共創やイノベーションを生むとされています。どんなに間違っていたとしても自分の意見は正しいと思ったら言ってみる、上司であっても違うことがあったら声を出す。この掛け合わせがとても大切です。

佐宗:まさにそのとおりです。BIOTOPEでも、心理的安全性を意識して組織を作ってきた結果、お互いのことを推し量りすぎて、結果的に「嫌なことをお互い言いたくない組織」ができあがってしまった時期がありました。ティール組織などで言われる「グリーンの罠」のような、妙に調和したところに落ち着いてしまう状態です。

 そこから抜け出すために、ミッションやバリューを設定し「このバリューさえ守っていたら何をやってもいい」という状況を作りました。さらにもう一つ重要だったのは、創業者である僕自身が「弱くなること」でした。自分があまりうまくいかない状況を共有し、メンバーが「うちの代表、別に強くないな」と思うようになってからのほうが、組織としての知的誠実性は格段に上がったと感じています。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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