不確実性の高いプロジェクトにおける「Alignment」と「Execution」
さきほどの取り組みでも、堀氏らは「6P elements」の管理手法を用いてプロジェクト全体に伴走している。
例えば、最初の「People」のプロセスでは、プロジェクトメンバーの16名にヒアリングを実施し、全員のスキルやマインドを可視化した。これにより、チーム内の人的資本やメンバー間の差異を全員で共有し、プロジェクトチームの土台となる相互理解を促した。

次に「Purpose」のプロセスでは、プロジェクトのゴールを設定するため、16名を4チームに分けたワークショップを実施。プロジェクトで何を実現したいかや、そのためにどのような取り組みをすべきかを議論を通じて具体化し、チームの役割やタスクといった実務レベルの方針にまで落とし込んだ。こうした取り組みを通じて、プロジェクトのゴールと、そこに至る道筋をチーム全員がイメージできる環境を築いていった。

さらに、「Property」のプロセスでは、ここまでで整理したチームの人的資本や問題意識を踏まえて、プロジェクトの対象となるサービスを選定。設定したゴールに到達するのに最も適したサービスを選び、プロジェクトの実行に必要なリソースを可視化・確保した。
これに続いて、「Execution」のフェーズでも継続的な支援を実施。プロジェクトの構造化や WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)の作成を通じてプロジェクトを管理したほか、ニーズの抽出やバリュープロポジションの設計など戦略策定も手がけ、プロジェクトの実行にも伴走してゴールへの到達をサポートした。
「6P elementsでは、Executionのフェーズはもちろん重要で、その領域で専門性を有している方も多いでしょう。しかし、その一方で、Alignmentのフェーズをおざなりにしてしまうと、その後に控えているExecutionがうまくいかなくなってしまうと思います。特に、人的資本経営時代においては、その傾向はさらに強まると予測されます。経営アジェンダに絡む不確実性の高いプロジェクトを成功に導くためにも、People、Purpose、Propertyの3つの要素に着目し、その実践に力を注ぐことが大切だと思います」
SAKUSEN TOKYOでは、「6P elements」を用いてプロジェクトの不確実性を分析し、あるべきプロセスやワークフローを提案する「6P elements analytics[2]」を提供している。プロジェクトの開始前に不確実性を炙り出して事前に対策を練るといった方法のほか、停滞するプロジェクトの阻害要因などを検証する際にも活用されているという。
最後に、堀氏は「プロジェクトにおける不確実性の本質は『人』にあると再度強調したいです」と述べ、会場に向けてメッセージを送った。
「皆さんもプロジェクトが停滞したり、トラブルに見舞われたりといった経験があるのではないでしょうか。そのほとんどの原因は、人に起因する不確実性の発生にあると私は考えています。そして、その問題を回避する最適な方法が6P elementsです。プロジェクトにどのように対峙すればよいのかわからない方や、チームの士気を上げてプロジェクトを乗り切りたいという方は、ぜひご相談をいただき、共にゴールに到達したいと考えています」

[2]「SAKUSEN TOKYO、プロジェクトマネジメントを6つの要素で分析 PMOフレームワークを発表」(Biz/Zine、2024年12月25日)