東急電鉄のイントレプレナー加藤さんが取り組む「大企業 × ベンチャー」のカタチ

東京急行電鉄株式会社 事業計画部「東急アクセラレートプログラム」運営統括 加藤 由将 氏

 東京急行電鉄株式会社 都市創造本部 開発事業部 事業計画部 企画担当 課長補佐である加藤由将氏。氏は現在、企業とベンチャーの共創によって新しい価値を生み出す「東急アクセラレートプログラム」を進めている。紆余曲折、そもそもの事業をどのように立ち上げていったか、難局をいかに乗り越えていったのか、を聞いた。インタビュアーはBiz/zineでおなじみのbiotope佐宗邦威氏。

[公開日]

[語り手] 加藤 由将 [聞] 佐宗 邦威 [取材・構成] 中岡 晃也 [編] BizZine編集部

[タグ] スタートアップ ベンチャー 事業開発 オープンイノベーション アクセラレータプログラム

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ベースにある、現場を走って汗をかき事業を立ち上げた経験

佐宗(biotope 代表取締役社長 / イノベーション・プロデューサー):
 大企業で組織を動かし新しいことを実現していくのはものすごく大変です。私自身も経験がありますが、イントレプレナーがどうやって 社内外を動かしてきたのかという「知恵」を世の中に共有することが、まず大事だと思っています。一方で、そういう人は笑顔で取り組みながら、裏では結構辛い思いをしているはずです。試練をどう乗り越え学び、今何を思うのか。“リアルなお話”をお聞きできたらと思っています。
 まず、加藤さんが「今取り組まれていること」と「そこに至るまでの略歴」を教えていただけますか?

加藤(東京急行電鉄株式会社 事業計画部 企画担当 課長補佐):
 入社は2004年です。入社動機としては、非常に好奇心が強い人間だったので、一つの事業しかできない単一事業体の会社よりも多くの事業領域を持つ事業会社で働きたいという思いがありました。就職活動を進める中で、複合企業体・コングロマリットの「鉄道会社」である東急電鉄に出会いました。ここだったら不動産や鉄道などのインフラ系のハード事業も小売やホテル運営などの生活サービス系のソフト事業にも携わることができ、なおかつ地域コミュニティや行政との折衝など非常に深く幅広く、自分の好奇心を満たしてくれる会社ではないかということで入社を決めました。

 入社後4年間は住宅事業部に所属し、財務・管理会計を中心とした支援業務をしながら事業部の経営計画をつくる仕事をしていました。その業務に従事していた2007年に、都市開発事業本部で新規事業提案の機会がありました。経理畑でまったく事業経験はなかったのですが、こんなサービスがあれば沿線の不動産市況がもっと活性化するのではと考え、事業提案をしました。その後、その提案内容が一部に含まれた社内新規事業のワーキングチームに招集され、そこから生まれた事業が「東急電鉄 住まいと暮らしのコンシェルジュ」というサービスでした。

東急電鉄 住まいと暮らしのコンシェルジュ東急電鉄 住まいと暮らしのコンシェルジュ

 駅というリソースを活かして、沿線のお客さまの住まいに関する情報発信と無料相談を受ける窓口をつくることで東急沿線の潜在層ニーズを掘り起し、他社とパイを奪い合うのではなく、マーケット全体のパイを増やすことを目的としていました。サービス内容としては、自宅を購入すべきか、賃貸すべきか、建て替えるべきか、リフォームするべきかなど、お客さまの千差万別の条件から考えられる様々な住まいの選択肢をご提案し、中立的な立場でその選択肢に対してベストなソリューションを提供出来る不動産会社や建築会社の営業マンを紹介するというマッチングビジネスです。この事業を企画設計と事業管理で3年間、その後3年間は店長として自分も現場に出ました。その6年間で培った事業企画から店舗運営に至るまでの一貫したことが、最初の大きな「事業立ち上げ」の経験でした。充実した時間ではあったものの「もう少しこうすればよかった」と、思うことも残りました。

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