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企業価値向上のための非財務資本活用

企業価値を高め、持続的成長を実現する非財務情報の活用方法──経営企画部門が注力すべき“ポイント”

第2回

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 企業が持続的な成長を遂げ、価値創造を実現するには、足元の「稼ぐ力」を高め実績を出しながら将来の「成長期待」を醸成し、企業価値を向上させることが求められています。そのためには、財務資本・非財務資本を表裏一体として捉え、戦略的な資本投下と成果測定を繰り返す企業運営が必要です。では、そんな企業運営を実現するために、経営企画部門は何に注力するべきでしょうか。中長期的な視点でステークホルダーの関心を把握し、企業として本質的に注視すべき要素を認識することが欠かせません。加えて、あらゆるステークホルダーとビジネスモデルや事業戦略を正しく共有し、創出する価値を高める「競争力の源泉」となる定量的要素を明確に定めることや、それを強化する施策にコミットし実績を追うことも必要でしょう。本稿では、そのなかで非財務情報をどのように活用することが望ましいかについて考察します。

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企業価値を高める非財務情報とは

 企業価値向上に寄与する非財務情報とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

 筆者が所属するアビームコンサルティングでは企業価値の向上と非財務指標の相関を明らかにすることを目的とした分析調査を実施し、「日本企業の企業価値を高めるESG指標トップ30(2024年度)」を発表しました。本調査ではアビームコンサルティングのエグゼクティブアドバイザーである柳良平氏が提唱した、非財務と企業価値の関連を示す計算式「柳モデル」を用いて、アビームコンサルティングがこれまで支援を行った日本企業の非財務データの分析に基づき、企業価値と強い相関を示す具体的な非財務指標を抽出しています。その結果、多くの企業で企業価値と相関が認められる指標上位30位を明らかにし、以下のランキングにまとめています。

※背景白:今回の分析調査で新たにESG指標トップ30にランクインした指標、背景ベージュ:過去2022年度実施の調査結果から継続してランクインしている指標
クリックすると拡大します

 1位にはガバナンス領域の指標として「役員の平均年齢」が挙がっており、まさに役員体制の強化や、経営に新たな風を与えることを目的とした役員の多様性が市場からも重視されている点は特徴的です。

 また、4位「研究開発による創出製品数」や14位「企業ブランド調査結果」など知的資本の重要性も見て取れます。研究開発という企業の新たな価値創出と競争力強化に直結する指標が企業価値向上にもつながっている点や、地域・社会との交流やブランディング活動を実施することで、企業への信頼と評価を高めるとともに競争力につながるブランド力の強化を進めていくことが注目されていると言えるでしょう。

 25位「従業員エンゲージメント」はまさに人的資本領域の重要指標であり、従業員のプロアクティブな行動や学習意欲が企業の持続的成長に寄与することがデータでも示されています。高いエンゲージメントは、定着率の向上に加え、従業員の育成および組織の成長につながり得るため、エンゲージメントを高める環境を整えることの重要性も明らかになっています。

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この記事の著者

今野 愛美(コンノ マナミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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