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エプソンとぐるなびがなぜタッグを? 「ミセメディア」開発秘話には共創のヒントが詰まっていた

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実は親和性が高い!?エプソンと飲食店

──一見すると接点がなさそうな2社に思えますが、どのような経緯で協業に至ったのでしょうか?

中原:実は飲食店は、当社のアセットと非常に親和性の高いプレイスなんです。ほとんどの飲食店にはレシートプリンターが設置されていますし、メニューやポスターを印刷するためのプリンターもあります。パーティー会場として利用されるような飲食店なら、プロジェクターも設置されています。

中原:私たち新規ビジネス開発部のミッションは「顧客の課題を起点に新しいソリューションを生み出すこと」です。親和性の高い飲食店にスコープを当てて新規事業を開発するにあたり、ぐるなびさんに市場調査などを手伝っていただいたことが接点の始まりでした。

──事業の構想は元々お持ちだったのでしょうか?

中原:飲食店に設置されたプロジェクターは、結婚式の二次会や歓送迎会などのイベントが催されるとき以外は電源を切られていることが多いです。せっかく設置いただいているのであれば、投影するコンテンツを価値とするビジネスモデルを構築して、飲食店とプロジェクターの価値を引き出せるのではないかと考えていました。

大塚:ぐるなびとしても、飲食店に食べて飲む以外の価値が眠っていると考えていました。そのうちの一つがプロモーションだったんです。それに加えて、飲食店の収入源を増やしたいという思いもありました。昨今は家賃や人件費、食材費などの原価が高騰し、飲食店が利益を生むことは難しくなっています。そんな中、ミセメディアが機能すれば広告主からいただいた費用を飲食店に還元することができるからです。

「何を持つか」ではなく「誰と組むか」

──事業化において最も苦労した点を教えてください。

中原:ローンチ前はコロナ禍だったこともあり、PDCAを望むスピードで回せないことに課題を感じていました。「どこにどう設置すれば見られるのか」「どのようなクリエイティブなら見てもらえるのか」など、立てた仮説を店頭で検証するサイクルが今ほど早く回せなかったんです。

 ただ、多くの新規事業開発担当者が苦労する「社内の理解不足」や「ステークホルダーとの利害不一致」は一切生じませんでした。ぐるなびさんはもちろん、当社の経営陣も事業を応援してくれたことは大きかったですね。

──両社で非常に良好な関係性を築いているようにお見受けしますが、共創を成功に導くポイントはありますか?

中原:異なる業種で異なる文化を持つ企業同士、リスペクトを忘れないことでしょうか。違うからこそ学びも多いです。

大塚:今回は、ぐるなびが保有する飲食店とのネットワークと、エプソン販売が販売する素晴らしい機器があったから事業が生まれたと思われるかもしれませんが、仮にこのアセットがなかったとしても、両社の間には何かしらの事業が生まれていた自信はあります。逆に、同じアセットを持つ別の企業と共創しても、ミセメディアは生まれていなかったような気がするんです。同じ志を持ち、ともに試行錯誤ができる企業と手を組めたことは幸運だったと思います。

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事業グロースには革新性ゆえの苦労も

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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