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コスト削減から「攻めの物流」へ。AIが導く事業持続と売上向上の新常識

「Logistics DX SUMMIT 2025」レポート

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コスト削減の先にある真の価値。事業の持続可能性を高める「攻めの物流」

小野塚:AI活用は生産性向上に直結しますが、価値はそれだけではないはずです。効率化の先にある「プラスアルファの価値」とは何だとお考えでしょうか。

前川:2つあります。1つはパートナー企業との関係性の向上です。データを可視化して共通のゴールを持つことで、うまくいけば一緒に喜び、課題が見つかれば次の改善へのモチベーションに変えられます。感覚や“お願い”ベースだった関係が、明確な指標によってチームとしてともに前に進む力になっています。もう1つは新たな事業の創出です。10年以上かけて作り上げてきた循環型物流の仕組みとノウハウを、他の法人様向けに提供し始めたことです。これもAIが生み出した新しい事業の広がりだと捉えています。

小野塚:UX向上の仕組みが、パートナーとの関係を強化し、新規事業の基盤にもなっているのですね。

株式会社ローランド・ベルガー パートナー 小野塚征志氏
株式会社ローランド・ベルガー パートナー 小野塚征志氏

 では松下さん、「ルート最適化」におけるコスト削減以外の価値とは何でしょうか。

松下:2022年頃から、お客様の求めるものが明らかに変わりました。まず、コスト削減よりも「事業の持続可能性」に関するご相談が圧倒的に増えています。人手が採用できず、定着しない中で、いかに配送品質を維持するか。その解決策として「業務の脱属人化」が不可欠になっているのです。

 また、売上へのインパクトも大きな価値です。業務が標準化されると、急な荷量増にも柔軟に対応できるようになります。守りの効率化だけでなく、販促をどんどん仕掛けられる「攻めの物流」が可能になる。ここにデジタルの価値を見出すお客様が増えています。

データが暴く“不都合な真実”を乗り越える。トップに必要なメッセージは?

小野塚:「売上を増やすための物流」、素晴らしいですね。松倉さん、サプライチェーン全体ではどのような価値が生まれていますか?

松倉:PDCA、つまり改善のサイクルが高速で回るようになることです。これまでは勘と経験で「先月は良かった」で終わっていた議論が、データに基づいて「なぜ良かったのか」を深く掘り下げられるようになり、経営の高度化に直結します。

 ただし、これには注意点もあります。データによって“不都合な真実”が可視化されるため、現場の抵抗にあうことも少なくありません。導入を検討する企業様には、トップが「これは現場を責めるためではなく、会社全体をより良くするためのツールだ」というメッセージを発信し続けることの重要性をお伝えしています。

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「人が介在すべき価値」への集中とDX内製化への戦略

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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