「信頼」は事業成長につながる
コミューンは「あらゆる組織と人が溶け合う未来を作る」というビジョンを掲げている。企業と顧客、あるいは企業と従業員の間に存在する垣根や距離、断絶、摩擦をなくし、有機的に結びついた状態を目指すものだ。同社CEOの高田優哉氏は、このビジョンと説明会の主題である「信頼起点経営」の関連性を次のように説明する。

「今は企業と顧客、企業と従業員の間に距離や断絶があり、コミュニケーションにずれや摩擦が生じています。それらが有機的に溶け合う状態を実現するためには、信頼起点経営が不可欠です」(高田氏)
高田氏は「信頼起点経営が経済合理的な未来へつながる」と強調。その背景に、企業経営を取り巻くマクロな環境変化を指摘する。
まず、日本の人口動態の変化だ。毎年80万~90万人という人口が減っており、政府の見解ではこのトレンドが少なくとも5~10年は続くとされている。このような状況下では、企業が新しい顧客を獲得する難易度は上がる一方だろう。
また昨今は企業と顧客、企業と従業員の間にあった情報の非対称性が縮小し、SNSや口コミの普及によって個人の発信力が強くなっている。さらに、AIを含むテクノロジーが浸透した今こそ「人の態度変容を促すのは人」と高田氏。組織内にも目を向けると、働き方が変化して生産年齢人口が減る中、企業は従業員に“選ばれ続ける”必要があるという。
こうした環境変化を踏まえ、企業は顧客からも従業員からも信頼を得ることが重要であるとし、高田氏は「信頼起点経営」の必要性を訴える。
「顧客や従業員との信頼関係は、事業成長にもつながります。たとえば『この会社をもっと良くしたいから、隣の店舗にも自分たちの店舗でうまくいった事例を教えよう』といった従業員の貢献や『このサービスは素晴らしいから、友人におすすめしよう』といった顧客の貢献が発生するためです。この信頼→貢献→成長のサイクルを事業に活かす営みが信頼起点経営です」(高田氏)
信頼をいかに定量化・可視化するか
同社のプロダクトは、信頼起点経営をどのように実現するのか。ここで同社CMOの杉山信弘氏にバトンが渡り、先日発表した新プロダクトの設計思想を紹介する。

杉山氏によると、同社は「可視化」「理解」「育成」「創造」の4ステップで企業を支援していく。

まず、顧客や従業員が自社のことをどの程度信頼しているのかを可視化する。次に、生の声や定量・定性データから顧客や従業員のニーズと感情を分析し、信頼獲得に必要なインサイトの理解を促す。得られたインサイトを踏まえて信頼を育み、信頼関係が築けた顧客や従業員の口コミを基に、未顧客や従業員の不安・疑問を解消できるようにする流れだ。
「弊社が支援する企業の中には、既存顧客と信頼関係を育むことによってリピート率や顧客単価が向上し、売上および収益が向上した例もあります。加えて、その顧客が企業やブランドを他の人に紹介したり、口コミを投稿したりすると、その口コミをきっかけに新規顧客が生まれるのです。このように、信頼は事業成長へたしかに貢献していると言えます」(杉山氏)