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越境を起点にした「経営変革」

イノベーションや人的資本経営における「越境の価値」──AI時代に陳腐化しない「キャリア」の作り方とは

ゲスト:一般社団法人越境イニシアチブ 代表理事 原田未来氏

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イノベーションの鍵は「通訳者」。越境が組織間の連携を加速させる

原田未来
一般社団法人越境イニシアチブ 代表理事/株式会社ローンディール 創業者 原田未来(はらだ みらい)氏
1977年生まれ、千葉県出身。立教大学文学部卒業。大学院大学至善館修了、MBA(経営学修士)。2001年、創業期の株式会社ラクーン(現 株式会社ラクーンホールディングス)に入社し、部門長・新規事業責任者を歴任。2014年、株式会社カカクコムに転職し事業開発担当。
サッカーの「レンタル移籍」に着想を得て、「企業間レンタル移籍プラットフォーム」を構想。2015年に株式会社ローンディールを設立。「レンタル移籍」を軸としたプラットフォームは、大企業のべ150社が活用。イノベーション創出・人材育成・組織開発の課題に対し、「越境」の活用を提唱し、日本の大企業に広めた第一人者。
「越境を社会に実装する」活動に注力するため、2025年6月末にローンディールの代表取締役を退任、一般社団法人越境イニシアチブを設立し代表理事に就任。著書『越境人材---個人の葛藤、組織の揺らぎを変革の力に変える』(英治出版)を2025年9月に上梓。

栗原:「イノベーション」の観点から、なぜ越境が必要なのかを伺います。

原田:オープンイノベーションに関して、レンタル移籍は「人」が媒介となるため、越境元(大企業)と越境先(スタートアップ)のつながりが自然に生まれます。実績でも、移籍者の約7割が両社で商談の場を設け、その内の約2割が受発注や協業の関係に発展しています。

栗原:なぜ、それほど高い確率で協業が生まれるのでしょうか。

原田:両方のカルチャーや事情を知っている「通訳者」が存在する状態で対話ができるからです。「同じ釜の飯を食った」人がいる価値は非常に大きい。

 一度でも越境経験があると、大企業が他のスタートアップと協業する際にも「コミュニケーションの質」が変わります。スタートアップは、こういうコミュニケーションをするとイラッとする、などといった肌感覚や作法がわかる。これは、スタートアップ側からしても、非常に組みやすい相手になることを意味します。

「レンタル移籍」の実績と傾向。大企業の課題感が多様化

栗原:ローンディールの越境プログラムは、現在、どのぐらいの規模感になりましたか。また導入企業の傾向もお聞かせください。

原田:累計で導入企業は150社強、移籍者は約1,200人(2025年10月時点)です。初期は関西のインフラ系企業、その後は自動車メーカーとその関連企業、コロナ禍を経て金融系、直近ではエネルギー系など、日本の伝統的な大企業を中心に増えています。

栗原:導入する企業側の課題感に変化はありましたか。

原田:当初は「イノベーション人材の育成」がほぼ一択でした。そこから次第に「キャリア自律」や「経営者育成(サクセッションプランニング)」といった文脈が加わりました。特に経営者育成に関しては、「守り」の事業運営にたけた人材ではなく、「変革」をリードできる人材を経営者にすべき、という認識が背景にあります。

栗原:栗原:具体的にどのような成果につながっていますか。

原田:最近の面白い事例として、ある大手企業のケースがあります。2024年4月に同社は過去最大のM&Aを実行しましたが、そのプロジェクトに大きく関わっていたのがレンタル移籍経験者でした。彼は移籍中、「正解がわからない中で動けない」という壁に直面しましたが、それを乗り越えて新規事業に挑戦。帰任後は、やり方も手探り状態からのM&Aで重要な役割を果たしたと聞いています。

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AI時代に陳腐化しない「キャリアポートフォリオ」と内なる多様性

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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