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越境を起点にした「経営変革」

イノベーションや人的資本経営における「越境の価値」──AI時代に陳腐化しない「キャリア」の作り方とは

ゲスト:一般社団法人越境イニシアチブ 代表理事 原田未来氏

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越境が生む「ブリッジパーソン」の価値

栗原:新規事業やDXプロジェクトにおいて、越境経験はどのように役立ちますか。

原田:大きく2点あります。1点は「スタートアップ的なスピード感やマインドセット」をつかめること。もう1点は、「マイノリティとしての感覚」を持てることです。大企業というマジョリティの内側にいると、自分たちが中心という感覚に、無意思のうちになります。

 しかし一度越境すると、物事の捉え方が多元的であることに気づきます。多様な人たちの視点を理解できる。この多様性への前提を持てることが、組織や部門の間をつなぐ「ブリッジパーソン」として機能するうえで非常に重要です。

栗原:外に出ることで、自分たちを客観視できるわけですね。

原田:はい。会社の看板が自分自身とイコールだと思い込んでしまう。しかし肩書が取れた状態で外に出ると、意外に相手にされない経験もします。

 これからのAI時代、情報や知識は安価に手に入りますが、そこに手触り感、つまり感情を伴ったリアリティを持って想像できる人が減るのではないかと危惧しています。越境は、この手触り感を得るための貴重な機会となります。

栗原:ブリッジパーソンとして活躍した事例があれば教えてください。

原田:書籍の中で詳しく紹介しているのですが、NTTドコモの方の事例があります。協業先「チカク」にレンタル移籍後、ドコモに戻って両者の連携を進めようとした際、社内から「どちらの立場なんだ」と言われ苦労したそうです。

 最終的に彼女は、「ドコモの人間であり、チカクの人間でもある」と、自分を再定義しました。どちらか一方に立つのではなく、両者をつなぐ存在として捉え直せたのです。

『越境人材』

「越境できる人」を増やす。原田氏が目指す“越境の習慣化”

栗原:最後に、新たに設立された「越境イニシアチブ」での取り組みを伺います。

原田:今、「越境できる人」と「できない人」の差が社会的に広がっていることに強い危機感を持っています。越境は、一部の選ばれた人だけの特別な活動ではなく、どなたでもできる面白い取り組みなのだと社会に広めていきたい。

栗原:具体的には、どのような活動を計画されていますか。

原田:越境の価値を知っていただき、一歩踏み出すきっかけとして「越境力講座」を開発し、企業や個人向けに提供しています。そこに集まった人たちをコミュニティ化し、最終的には越境を「習慣化」していくことがゴールです。

 「越境イニシアチブ」としては、もっと「面」で越境を推進したい。地域企業や霞が関とも連携し、また他のサービスともつながり、越境という軸で社会全体をつなぐプラットフォームのような役割を果たしたいと思っています。

栗原:本日はありがとうございました。

原田未来

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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