「AIが仕事を奪う」という誤解
──最後に、お二人からAIと経営の関係についての展望をお聞かせいただけますか。
山口:よく「AIが仕事を奪う」と言われますが、それは少々乱暴だと思っています。私はもう既に著作1冊のうち、3分の1程度はAIに書かせていますが、それでも出版された本は「著者・山口周」です。フランス料理界の巨匠 アラン・デュカスが手掛けるレストランで、彼が調理のすべての工程を手がけていなくても、出てくる料理が「アラン・デュカスの料理」であるのと同じですね。AIはヒトが自らの責任でアウトプットを出す道具だと考えるべきでしょう。
ただ、一方で、誰もがAIを使いはじめたら平準化してしまうという問題もあります。だからこそ、平準化しない、つまり人間にしかできない領域を見定めて、いかに自身のリソースを配分するかが重要になってくる。この変化が経営に与える影響は決して小さくありません。注力すべき領域が変わるのだから、「優秀な人材」の定義が変わり、採用や人材育成のあり方も変わるはずです。この変化に敏感であることが、これからの経営者に求められる資質なのではないでしょうか。
経営会議をAIでトランスフォーメーションする

布川:「経営者は時代の変曲点を見極めるべき」というのが、本日の対談の共通見解だと思いました。変曲点を察知しているからこそ、大胆なリソースアローケーションなどの意思決定が可能になります。
しかし、従来、多くの企業では、既定路線を確認することが経営会議の目的になっていたように思います。だからこそ、ログラスは「経営会議のAIトランスフォーメーション」を実現したいです。
より具体的に言えば、意思決定に必要なデータやコンテクストを自動的に収集・レポーティングすることで、経営者に今後の自社について徹底的に議論できる環境を提供したいと思っています。それを達成するために、私自身も大胆な意思決定を重ねて、「Loglass AI Agents」による経営の変革を実現に近づけていきたいです。

