LINEヤフーは2025年10月27日、財務・非財務情報を包括した「統合報告書 2024」を同社ウェブサイトで公開した。今回の報告書では、生成AIの活用を軸に企業価値の向上を図る戦略や、新たに改定したマテリアリティについて詳細に説明している。

「統合報告書」は、同社の財務情報と非財務情報を簡潔かつ統合的にまとめることで、さまざまなステークホルダーとの対話を深めることを狙いとしている。情報は適切なタイミングで更新され、投資判断などに役立つ内容となっている。
出澤剛社長は、生成AIを中心とした事業および組織の変革を進め、変化に前向きな企業文化の醸成とAIエージェントを通した新しい社会価値の創出に取り組む方針を示した。同氏は、変化を恐れず、むしろ変化しないことをリスクと捉える組織づくりを目指し、多層的に社会へ貢献するとした。企業の価値最大化には未来志向と現実志向の両輪が必要であるとの考えも示されている。
CPOの慎ジュンホは、独自AIエージェントの開発を進める方針とともに、ユーザー起点のサービス設計の重要性を語った。プロダクト開発ではユーザーから選ばれる存在となることを最重視し、価値の最大化とユーザー中心の文化を浸透させていく意向である。
また、上級執行役員 生成AI統括本部長の宮澤弦は、生成AIの全社展開を進め、業務効率化や生産性向上を実現する取り組みを進行中であると述べた。AIリテラシー教育や全社的な利用ルール整備を推進し、社員が安全・効果的にAIを活用できる体制を強化するほか、次世代の働き方創出と新たな価値創造を目指す。
マテリアリティの改定については、生成AIの進展や気候変動、情報セキュリティなど、目まぐるしく変化する社会・事業環境を踏まえたものだという。ステークホルダーの意見を反映し、リスクと機会の双方から検討を重ねた上で、それぞれのマテリアリティに指標と目標を定めている。今後も企業の持続的成長とステークホルダーとの共存共栄のため、具体的な取り組みを推進する方針だ。
報告書には取締役や監査等委員らによるAIエージェント戦略等に関する座談会なども掲載されている。
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