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経営企画サバイバルガイド

数字を埋めるだけで終わらない科目別の予算づくり 経営企画部門初任者の実務ポイント

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人件費は財務会計と管理会計の“見え方の差”に要注意

 多くの企業で、費用を占める割合が特に大きい項目は人件費でしょう。人の増減や異動は事業の変化と連動するため、人件費予算を見れば事業戦略のストーリーを掴むことができます。

 そんな人件費ですが、まずは「自社がどのように管理しているか」を把握するところから始めましょう。様々な企業の管理手法を見てきた私は、大きく分けて2種類の管理方法があると考えています。一つ目は、社員のコストを個人単位で積み上げ、部門ごとの人件費を集計・管理する方法です。中小規模の企業でよく見られます。実際にかかる費用を土台にするため精度は高い反面、運用の手間が大きいのは難点です。

 二つ目は、標準人件費法です。社員数が多い大企業では、一人ひとりの実績値に基づいて管理する手法が現実的ではありません。そのため、等級・グレード・役職ごとに標準給与を設定して「人数×標準給与」で人件費を集計する、標準人件費法が用いられる傾向にあります。バイネーム管理に比べて精度は落ちるものの、管理しやすい点がメリットです。

 また、人件費では財務会計と管理会計の見え方の差を意識するのもポイントです。財務会計上の人件費には、給与だけでなく残業代や賞与、法定福利費、通勤手当などが広く含まれますが、現場で扱うには複雑すぎるという問題があります。そこで管理会計では、単純化した費用で管理することがありますが、そこで財務会計と差分が生まれるのです。この差分は「財管差異」と呼ばれます。

 初任者は財管差異が理解できず混乱しがちです。私もかつて、実際の社員に対する支給額と管理会計上の人件費の差額が何なのか、正しく理解できませんでした。まずは財務会計上の扱いを把握することが重要です。その上で企業の管理上の扱いと計算方法、そのように管理する背景を理解しましょう。自社が複雑な管理を行っている場合は、ここまで理解するだけでも大変ですが、本質はこの先にあります。

 事業運営において人件費の理解とコントロールは欠かせません。人件費の変動は人員の変動であり、人員計画が適切に立案されている場合、人員の不足はそのまま売上の不足や事業運営のリスクにつながるからです。もし変動がある場合は、事業のストーリーに変化が生じていることを意味します。数字を適切に理解した上で、事業の変化を捉えられるようにしましょう。

販売管理費は投資!その狙いと効果を明確に

 上述の人件費も内包されますが、営業活動や企業運営に必要な費用は販売管理費(販管費)と括られます。その中でも「減価償却費」は、経営企画部門の初任者が予算を策定する際に混乱しやすい項目の一つです。

 減価償却とは、長期に亘って利用する設備の費用を、会社がその便益を受けられる期間に応じて毎期按分する仕組みのことです。たとえば、機械設備(定額法/耐用年数5年)を600万円で導入し、稼働を開始した場合、PL上では稼働を開始した月以降、減価償却費として毎月10万円が5年間計上されることになります。

 上記は一例ですが、固定資産の種類により、償却期間や償却方法は異なります。「各種類区分の固定資産をどのように償却するか」は各社にルールがあるはずですから、確認して把握するようにしましょう。

 人件費や減価償却費を除くと、その他の販管費の管理が複雑になることはないかもしれません。しかし、予算策定時にその背景や前提の確認が必要なことは変わりません。前年度を踏襲して硬直化しやすい箇所でもありますし「何のための投資なのか」を常に問い直す姿勢を欠かしてはなりません。

 予算の前提を見ていくと、事業が何を目指しているのかが理解できるようになります。ただし、経営企画部門の役割は、単に予算を策定するだけでは終わりません。むしろ実績と付き合わせることで課題を特定し、事業のPDCAを加速することこそが仕事の本質です。次回は実績の見方について解説していきます。

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この記事の著者

冨田 貴大(トミダ タカヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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