2013年1月から2014年5月まで、「ビジネスモデルアーキテクト養成講座」というタイトルで長期連載をさせていただきました。今回は、その後の一連のワークショップ、自身のスタートアップ経験、多くの人々との交流から得た知見を通じ、「事業企画の現場で使える、ツールTips」というタイトルで、より実践的なビジネスモデルデザインに役立つ各種ツールの活用方法に関してお伝えしていきます。
最初のビジネスアイデアと“恋に落ちて”はいけない
ここ数年、「ビジネスモデル」という言葉がビジネスの世界において頻繁に使われるようになりました。アベノミクスによる創業支援の影響もあり、各方面でビジネスモデルに関するセミナーやワークショップが盛況です。一方で、ビジネスモデルとビジネスプラン(いわゆる事業計画)を混同している方がいまだに多いのも事実です。
すでに出来上がっている市場(一定の需要はあるもののレッドオーシャンである場合が多い)に対して新たに参入しようとする際、私たちはビジネスプランを作成します。具体的に言えば、市場における一定のパイを確保するための戦略や事業目標、財務計画などが必要です。
ところが、新しい価値や新しい市場を創造しようとする場合、詳細なビジネスプランを作成する前にしなければならないことがあります。それが「ビジネスモデルのデザイン」なのです。なぜならば、市場機会が存在するか否かに関する仮説を立て、その仮説の検証とテストをする必要があるからです。
検証やテストがなされないまま、いつの間にか仮説が「前提」となり、その前提が「事実」にすり替わり、詳細なビジネスプランに落とし込まれることによって、「最初のアイディアと恋に落ちてしまう」ケースがあります。ビジネスモデルジェネレーションの著者であるアレックス・オスターワルダーは、「皆さんが燃え尽きてしまう前に、ビジネスプランを燃やしてしまえ!」と忠告しています。私はそこまで断言する勇気はありませんが、ビジネスプランとビジネスモデルは異なるものであることは理解しておくべきです。
さて、本連載において、ビジネスモデルのデザインに対するプロセスを大きく「ビジネスモデルに関する仮説」フェーズと「ビジネスモデルの実験」フェーズに分けて考えていくことにしましょう(図1)。
図1. ビジネスモデルデザインのプロセス
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