2025年11月25日、神戸市に本社を構えるGodotは、AI行動シミュレーター『Narrative Finder(ナラティブ・ファインダー)』をリリースした。本製品は、人や組織、都市が未来にどのような行動や構造を形づくるのかを、複数のAIエージェントによる相互作用をもとに可視化するシステムである。これにより、変化の激しい時代における意思決定を支援することを目指している。

従来の意思決定は、主に過去の統計データや現地調査に依拠しており、将来起こり得る行動構造自体を捉えることは難しかった。これに対し『Narrative Finder』は、行動科学とAI技術を融合。自律的に判断・行動する複数のAIエージェントが、互いに影響し合いながら行動や外部環境へ適応する過程をシミュレートし、未来の構造を立体的に描き出す。
この仕組みにより、例えば「環境や制度を変更した際に人や組織の行動や構造がどう変化するのか」「連鎖反応やボトルネックがどこに潜むのか」「何をどう変えれば望ましい状態に近づけるか」などの複雑な問いに対して示唆を与えることが可能となる。
また、同技術はGodotの研究・実装ノウハウを統合し、独自の特許技術として展開される。単なるデータ分析を超え、行動の裏側にある文脈やさまざまな相互作用の「物語」を描き出す点が特徴である。
今後の用途として、企業における顧客行動理解や施策効果の事前検証、自治体における地域政策や制度設計の評価、教育分野でのキャリア選択支援、さらにはヘルスケア・金融・ESG領域での行動変容施策の設計への応用を計画している。第一号案件としては、大手スポーツメーカーとの共同開発事例を近日公開予定だという。
Godot CTOの鈴井豪は、「本製品の核心は、行動科学の知見と自律型AIエージェント技術の深い融合にある。多様なAIエージェントによる未来構造の変化を描き出すことで、複雑な社会課題やビジネスにおける“もしも”を検証し、より良い意思決定を支援していく」とコメントしている。
『Narrative Finder』の詳細や活用事例は、Godot公式プロダクトページ(https://godot.inc/products)で公開されている。
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