AIスタートアップOlloは2025年12月22日、同社が開発した作業分析AIソフトウェア『Ollo Factory』がスズキの国内工場に正式導入されたことを発表した。『Ollo Factory』は、スマートフォンやタブレットに加えウェアラブルカメラ映像にも対応した動画解析AIであり、現場作業の効率化や作業ミスのリアルタイム検知を強みとしている。

　スズキは中期経営計画において、国内工場をグループのマザー生産拠点と位置付け、高度な技術やノウハウの伝承および生産技術の継承・精度向上を重視している。『Ollo Factory』導入は、こうした現場改革の一環として、AIを活用した業務変革と工程管理精度の強化を目指したものだ。

　『Ollo Factory』はウェアラブルカメラの映像に対応しており、固定カメラの死角を克服する。これによって自動車組立の複雑な工程でも、新人と熟練者の動作の違いを細やかに分析可能となり、教育や現場改善活動の効率化に貢献する。加えて、AIによるリアルタイム異常検知も国内工場で開始しており、ネジの締め忘れなどの作業抜け・ミスを即時に検出することで、不良流出防止やグローバルでの品質統一も後押しする。

　Olloが開発した『Ollo Factory』は、作業動画をAIが要素ごとに自動分割・解析する技術を持つ。手順書自動作成、ムダの特定、人員配置の最適化などに加え、ベテランと新人の動作比較による効率的育成・習熟支援も提供。これらの分析・教育機能を組み合わせることで、製造現場の生産性・品質向上に貢献しうる。

　スズキ専務役員の市野一夫氏は、「AIを活用した熟練作業者の技能伝承に期待してきた。タクトタイム内の重要な作業ポイントをリアルタイム検出することで、慢性的な不良の根本解決にも寄与する」として、現場の品質安定・効率化への期待を示す。

　Olloの代表取締役CEOである川合健斗氏は、「スズキのような製造現場で『Ollo Factory』の手順書自動化や異常検知などが相性良く、現場でのDX推進に貢献できる」とコメント。今後はスズキの国内外工場へのAI導入加速や、日本の製造業全体の競争力強化にも寄与したいとしている。

　Olloは2019年設立のスタートアップで、東京大学松尾研究室発メンバー中心に画像認識ソフトウェアの開発を展開している。今後もスズキとの連携のもと、製造現場のデジタルトランスフォーメーションを推進していく計画だ。

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