2025年12月23日、日立製作所、アフラック、GlobalLogicの3社は、「職域版キャンサーエコシステム」の構築に向けて日立グループ従業員約3,000人を対象とした実証実験の効果検証を完了したと発表した。
この取り組みは、がんに関する社会的課題に対し、職場単位で従業員およびその家族への包括的なサポート体制を構築することを目的としたものである。背景には、日本人の約2人に1人が生涯でがんと診断される現状があり、働く世代への啓発や予防の重要性が高まっていることがある。企業も人的資本・健康経営の一環として従業員サポートを強化しているが、施策の認知や活用に課題があった。
2022年12月より3社で先行検討を開始し、2023年9月から具体的な施策の実装を進めた。今回は2025年4月から11月にかけて「がんを知り・がんに備える」プログラムを日立従業員に実施。以下の3つを主要なKPIとし、施策の有効性を検証した。
1. がんを意識する機会の拡大
2. がん検診の受診機会の拡大
3. がん保険の検討機会の拡大
GlobalLogicの「行動のデザイン」手法などを活用し、セミナーの周知方法やアーカイブ配信の改善を通じて、従業員の自律的な意識向上を狙った。主な成果として、がんセミナーの認知率が約20%向上し、セミナー参加者の約70%が「がん検診を受けようと思った」と回答するなど、行動変容や意識向上に一定の手ごたえが得られた。また、保険相談の件数も増加し、KPIすべてで効果を確認できた。
3社は今後、本実証結果を基に、がん罹患前から罹患後まで一貫して従業員を支援する「職域版キャンサーエコシステム」を他社にも展開し、企業のウェルビーイング向上に貢献するとしている。日立では、グループ全体での健康経営推進にも取り組む方針だ。
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