FP&Aが描く「持続可能な医療機器卸」の未来
池側:FP&Aが財務の枠を超えて、企業価値全体を見渡す役割へと進化されていますね。
山本:最近ではFP&Aチームのメンバーが現場の組織に対して研修を行っています。たとえば、「製品のまとめ買い」を検討する際、キャッシュアウトが先行しリスクが生じます。そうした意思決定が企業価値にどう影響するかといった事業におけるP/L以外の論点も含め、財務の視点について現場のメンバーに教える取り組みを始めています。FP&A教育を受けたメンバーが今度は「先生」になって現場に教えることで、組織全体の財務リテラシーを底上げしています。

地域医療に貢献するために、健全に「稼ぐ」
池側:投資家からの視点や、今後のビジョンについて最後にお聞かせください。
芥川:機関投資家からは「厳しい市場環境でどう利益を維持するのか」という問いを常に受けます。中計では経常利益の向上を掲げていますが、そのための「仕組み」を作るのがFP&Aです。我々はROE 8%以上を目標とし、資本コストを意識した経営を強化しています。
私たちが医療機器卸に専念し続けるのは、病院という公共性の高いインフラを支える自負があるからです。たとえば、グループ会社で静岡に本社を構える協和医科器械では、子どもたちに医療体験を提供する「メディメッセージ」を2007年 から継続開催しており、2025年の沼津開催では約5,600名が来場しました。さらに「エスパルス福祉基金」を通じた地域の福祉団体への寄付など、地域社会と深くつながっています。
我々が経営悪化で材料を届けられなくなれば、地域の医療は止まってしまいます。高齢化が進み、入院患者数や手術症例は今後も増加が見込まれます。この需要に応え、地域医療に貢献し続けるために、健全に利益を出し、サステナブルな経営を実現する。その「羅針盤」としてFP&Aを全事業会社に浸透させていきたいと考えています。
池側:「良いことをしているからこそ、儲からないと困る」という言葉は、多くの企業の心に響くはずです。卸売業においても、FP&Aがいかに強力な武器になるか、その可能性を強く感じるお話でした。ありがとうございました。

