医療機器卸での独特なポジショニング
池側千絵氏(以下、池側):メディアスホールディングスは、積極的なM&Aを軸に非常にダイナミックな成長を遂げられています。まず、医療機器卸という業態に馴染みのない読者も多いため、その事業概要と業界内での貴社のポジショニングや特長を教えてください。
芥川浩之氏(以下、芥川):メディアスグループの業態を一言で言えば、国内外のメーカーから仕入れた医療機器や消耗品を病院などの医療機関へ供給し、メンテナンスまでを担う「医療機器総合商社グループ」です。主要な顧客層は、公的医療機関や国立・私立の大学病院であり、売上の約67%をこれら安定した経営基盤を持つ機関が占めています。
我々の強みは、単なる「商社」の枠を超え、医療現場の課題解決に直結する独自のソリューションを自律的に展開している点にあります。たとえば、日本最大級の医療材料データベース「ASOURCE」の自社構築や、院内の物品管理を効率化するSPD(Supply Processing Distribution)、さらには手術室の収支を可視化する「SURGELANE」といったITツールを提供しています。
現在、全国25都道府県に85拠点を構え、約3,500名の従業員が「止まらない医療」を支えるサプライヤーとして活動しています。業界内では、これら「M&A戦略」「ソリューション戦略」「業務効率化」の3つを柱とした独自のポジショニングを確立しています。
最新の中計で掲げる経営目標とFP&A組織の役割
池側:医療の最前線を支える非常に重要なインフラですね。では、最新の中期経営計画(2026年6月期~2028年6月期)において、どのような課題感と戦略、そしてKPIを掲げられていますか。
芥川:現在の医療機器市場は、高齢化の進展や技術革新により長期的には拡大傾向にあります。しかし、国内市場に目を向けると、公的な「償還価格」(厚生労働省が定めた、保険診療で医療材料が精算される公定価格)の改定による価格抑制や、物流コストの上昇、人件費の高騰といった厳しい経営環境に直面しています。
最新の中計では、これまでの「規模の拡大」に加え、「利益体質強化」を最重要課題として掲げました。主要なKPIとして「経常利益 年率10%UP」を設定し、2028年6月期には売上高3,300億円、経常利益27.8億円を目指しています。戦略面では、既存事業の徹底した構造改革による「事業効率性の向上」と、成長投資への選択と集中を行う「資本効率性の向上」を軸としています。
また、連結配当性向30%以上を目安とした株主還元の充実も明文化しました。さらに、利益成長を通じてROEを8%以上へ引き上げることを目標に据え、資本コストを意識した経営を鮮明に打ち出しています。
池側:2026年に実施された大規模な組織再編や、最近のトピックスについても伺えますか。
芥川:2026年には、グループ全体のシナジー最大化を目的に、HDへ事業機能を集約する組織再編を行いました。この再編では、DXとデータ活用を統合推進する「デジタル推進本部」や、国内外のスタートアップと共創する「スタートアップ推進部」、そして今回お話しする「FP&A部」を新設しました。
また、直近では物流機能に特化した「メディリスロジ社」を分社化し、「サンメディックス社」との共同配送実験を開始するなど、物流クライシスへの対応も加速させています。さらに、北海道での2社統合による事業基盤強化や、長野県の「共栄医科器械」との経営統合に向けた基本合意など、地域医療を守るためのM&Aとアライアンスも着実に実行しています。
