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リクルート流FP&Aの正体──事業統括室・三木氏と語る、ファイナンススキルより大切なこと

ゲスト:株式会社リクルート 三木久生氏、岡崎達也氏

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表裏一体の「コストマネジメント」と「投資の優先順位」

池側:リクルートではAI活用も加速していますが、業績管理における「人間の役割」はどう変化していますか。

三木:私たちは「Human-in-the-Loop(人間参加型のAI設計)」という考え方を重視しています。オペレーション業務はAIによって自動化が進みますが、最後は人間が高度な判断を下す。「リクルートAI活用指針」に基づき、AIが提示するデータをもとに経営陣が迅速に意思決定できる環境を整えるのが、現代のFP&Aの使命でもあります。

岡崎:私のチームでも集計作業はAIに任せ、人間は「なぜその変化が起きたのか」という考察に時間を割く方向にシフトしようとしています。ここで重要なのが、「コストマネジメント」と「投資の優先順位(Investment Prioritization)」のセット議論です。

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池側:単なるコストカットではなく、その先にある「投資」がセットになっている。これは「削減すること」と「追加すること」を同時に議論しているということでしょうか。

三木:まさにそのとおりです。私たちはコストを削るだけでは成長はできないと認識しています。不必要なコストを削減して捻出した原資を、次の成長の芽となる可能性の高いプロダクトへの投資や新規事業の開発へどう配分するか。この「投資の優先順位」を経営陣や事業ボードで議論できるようにすることこそが、FP&Aの本質的な仕事です。

縦割りの壁を壊す「横串」の視点と信頼関係

岡崎:「この無駄を省けば、これだけの投資枠が生まれますよ」という提案は、事業側にとっても非常に前向きなエネルギーになります。守りのコスト管理が、攻めの投資判断に直結している。この表裏一体の感覚が、現場に入り込むリクルートのFP&Aの面白さですね。

池側:現場に入り込みすぎると、時には「事業部の予算確保」と「全社の利益」の間で板挟みになりませんか?

三木:かつては「全社の利益」を優先するために「取り締まる」立場でしたが、現在は「取り締まりと執行」が同居するような距離感です。一見矛盾しているようですが、事業の当事者としてリスクとリターンを共有しているからこそ、最も効率的で納得感のある意思決定ができるのです。

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池側:岡崎さんは複数の領域を担当されていますが、領域をまたいでいるからこそできる貢献はありますか。

岡崎:「ベストプラクティスの横展開」です。どの部門であっても、どうしても「縦割り(サイロ化)」になり、隣の部署の成功事例に気づきにくくなるものです。そこをつなぐのが、組織横断的な視点を持つ我々の役割です。「あそこの部署ではこの手法でマージンを改善しましたよ」と情報共有することでも、組織全体の業績改善スピードが劇的に上がることがあります。これが2021年の統合以降、全社的な「EBITDA+S」最大化において非常に重要な役割を果たしています。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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