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東急の実験場・FDL流「次の100年」の作り方──MVVをお飾りにしない、プレイブックと定点観測とは

ゲスト:東急株式会社 フューチャー・デザイン・ラボ 総括課長 田中浩之氏、参事 坂井裕哉氏

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「言語のみ」の合意を捨て、言葉にならない“熱意”を引き出す

根岸:今回のプロジェクトでは、一般的な議論ではなく「非言語アプローチ」や「氷山モデル」を用いたワークショップを取り入れさせていただきました。

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アーノルド・ミンデル博士の3つの現実レベルという「非言語アプローチ」を参照し、根岸氏が図版作成/クリックすると拡大します

 組織の合意形成を「氷山」にたとえると、普段の会議で扱う「言語(契約や言葉)」は水面上のわずかな部分にすぎません。その下には「心に秘めた想い」があり、さらに深くには「言葉にならない感覚(熱量)」があります。確かに、この三階層がズレ、揃っていないと、どんなに立派なMVVを作っても現実の行動は変わりません。

根岸:ワークショップの初期段階で、東急という会社を擬人化した絵を描き、徹底的に「今の不満」を出すセッションを行いましたね。

田中:あれは衝撃的でした。「根回しが大変」「お堅すぎる」といった本音が次々と出てきて。しかし、現在のFDLの統括部長である山本が、率先してその不満を受け止め、一緒に盛り上がってくれたことで、場に漂っていた社交辞令が消えました。

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「東急さん」という擬人化ワークショップの成果物画像挿入/クリックすると拡大します

 面白いことに不満をすべて吐き出し切ると、今度は「でも、この会社(東急)はこれまで本当に頑張って経営基盤を作ってきたんだな」という、過去に対する純粋なリスペクトが湧いてきたんです。不満の裏返しは、それだけ期待や愛着があるということ。不満を言い切ったからこそ、過去を否定するのではなく、自分たちのDNAとしてつなぎ直すことができました。

坂井:その後、FDLメンバーそれぞれが所属するプロジェクトで実現したい将来像を「絵」で描きました。言葉にすると「売上向上」といった無機質な表現になりがちですが、絵にすることで「多彩な変態が集まっている状態」といった、文字化しにくい熱量が共有されたのは大きな収穫でした。

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「プロジェクトの理想の可視化」というワークの成果物/クリックすると拡大します

キーワードの収束。満場一致で選ばれた「軸」となる言葉

根岸:発散させた膨大なキーワードや想いを、一つのMVVにまとめ上げていったプロセスは非常に実践的だったと感じています。

田中:手法論というよりは、マネージャー陣が泥臭く議論を重ねましたね。ワークショップで出たキーワードを並べ、「どの言葉に一番熱量を感じるか」といった観点で徹底的に議論したんです。その中で「多彩」というワードが出たとき、全員が「これだ」と納得する瞬間がありました。

 FDLの最大の武器は、多様なバックグラウンドを持つ個人の集まりであること。個性が輝くことで未来が作られるという文脈が一本の線でつながったのです。

坂井:言語化のセッションは予定時間を大幅に過ぎることもありました。過去のワークショップの録画や資料を見返し、「あのとき、メンバーはどういう表情でこの言葉を使っていたか」を確認しながら、一つひとつの言葉に魂を込めていく作業でした。

根岸:言語化を行う途中、整理段階ではAIも活用しました。ただ、MVVのようなものを決めきる際には、やはり人間同士のぶつかりあいや響きあいやその際の温度感など、「非言語も含めた共通体験を持つこと」が極めて重要だと改めて感じました。

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MVV策定プロセスを追体験するツール「プレイブック」

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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