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AI時代の両利きの経営

日立が挑む「フィジカルAI」の実装──熟練工の暗黙知を移植する、日本ものづくり再興の処方箋

ゲスト:株式会社日立製作所 田中航氏、滝川絵里氏

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2035年、AIは社会インフラの「集合知」となる

小宮:フィジカルAIの活用が広がり、HMAXの展開が進んだ先、2030年代の社会はどのように変わっていると考えますか。

滝川:少子高齢化が極限まで進む2035年頃には、社会インフラを「人」だけで維持することは物理的に不可能になります。そのとき、HMAXが「社会インフラの集合知」として機能している世界を目指しています。

 業界の垣根を超えて、エネルギー、モビリティ、物流などのデータが連動し、最小限のリソースで最大限の利便性と安全性を維持する。誰もが苦労することなく、今の快適な暮らしを送り続けられる「レジリエント(強靭)な社会」を、AIの力で支えていきたいと考えています。

小宮:田中さんは、ロボティクスとAIの融合にどのような期待を寄せていますか。

田中:究極的には「AI前提の設計」が当たり前になるでしょう。今ある設備にAIを後付けするのではなく、最初からAIが自律的に動くことを前提とした工場や都市が作られていく。そこでは、人とロボットがごく自然に協力し合い、危険な作業や過酷な労働から人間が解放されているはずです。

 日立は「フィジカルAIの世界一の使い手」として、特定のハードウェアに縛られず、あらゆる設備やロボットをお客さまのニーズに合わせて最適に制御する存在であり続けたいと思っています。

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小宮:最後にお二人から、読者へのメッセージをお願いします。

田中:技術は日進月歩ですが、大切なのは「我々は正しい道を走っているか」という問いを忘れないことです。単なる技術の誇示ではなく、それが本当に現場の人を助け、社会を豊かにしているか。その本質を見極めながら、フィジカルAIという新しいフロンティアを切り拓いていきます。

滝川:AIを導入すること自体が目的ではありません。AIという強力な「パートナー」を得ることで、人間がもっと創造的な仕事に、あるいは大切な人との時間にリソースを割けるようになる。そんな未来のために、まずは日立自身が「カスタマーゼロ」として挑戦を続け、そこで得た成功体験を社会に提供していきたいと思っています。

小宮:デジタルと物理が高度に融合し、日本の「現場力」がAIとして昇華される。その先に、新しい社会の形が見えてきました。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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