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琴坂教授と探る、AI時代の経営学の4つの新潮流──ミドルマネジャーの変容と日本企業の逆転戦略とは

ゲスト:慶應義塾大学 総合政策学部 教授 琴坂将広氏

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「ゲームのルール」自体を書き換える──非市場・制度戦略とは

栗原:三つ目の潮流「非市場・制度戦略」は、ロビー活動やルール形成に焦点を当てたものですね。

琴坂:そのとおりです。これまでの戦略論は、あらかじめ与えられた「ゲームのルール」の中でいかに有利に戦うかを考えてきましたが、この潮流は「ルール自体を自社に有利に設計する」ことを目指します。

 象徴的なのは、UberやAirbnbのような規制産業領域で急成長した新興企業です。彼らは単にアプリを開発しただけでなく、既存の規制カテゴリーの「亀裂」を突いて、認知的正当性と社会政治的正当性を獲得するための「制度的ワーク」を展開しました。

 テスラがディーラーを介さない直販モデルを合法化させたのも、ルールメイキングによる競争優位の好例です。現代の経営者には、市場での競争(Market Strategy)と並行して、政府やNGO、社会的期待といった非市場環境との対話(Nonmarket Strategy)を統合的に管理する「制度的オーケストレーション」の能力が不可欠となっています。

画像を説明するテキストなくても可

「人間中心」の崩壊──アルゴリズムとロボティクス

栗原:四つ目の潮流「アルゴリズムとロボティクス」は、まさに今私たちが直面している2026年の現実ですね。

琴坂:経営戦略理論にとって最大の転換点です。なぜなら、これまでの理論は「戦略を立てるのも、実行するのも人間である」という、人間の不完全性(限定合理性)を暗黙の前提としてきたからです。

 しかし、生成AIに代表されるアルゴリズムは人間の認知限界を遥かに超えるパターン認識を可能にし、ロボティクスは24時間稼働し、情報を瞬時に共有する「自律的な組織メンバー」となりつつあります。

 ここで重要なのは、戦略の「策定」と「実行」の境界が消失することです。アルゴリズムがリアルタイムでデータを分析し、ロボットが即座に実行し、その結果がセンサーを通じて1秒以内に次の戦略にフィードバックされる。この超高速の循環プロセスにおいては、従来の「5ヵ年計画」といった概念はもはや成立しません。

 また、NVIDIAが実践しているように、バーチャル空間で数万パターンの戦略シミュレーションを行い、最適解だけを現実に落とし込む「ハイブリッド経営」が可能になったことで、イノベーションの速度は劇的に向上しています。

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中間管理職は「ボトルネック」から「価値観の伝道師」へ

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栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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