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琴坂教授と探る、AI時代の経営学の4つの新潮流──ミドルマネジャーの変容と日本企業の逆転戦略とは

ゲスト:慶應義塾大学 総合政策学部 教授 琴坂将広氏

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中間管理職は「ボトルネック」から「価値観の伝道師」へ

栗原:AIとロボティクスが浸透した世界で、人間であるマネジャーや社員の役割はどう変わるのでしょうか。日本企業にとってこれはチャンスでしょうか。

琴坂:私は大きなチャンスだと確信しています。これまで日本企業、特に大企業においては、現場の「現場力」は高いものの、中間管理職による情報伝達や調整コストが「意思決定のボトルネック」になっていました。数値管理や進捗管理といった事務的・管理的なタスクは、今後AIエージェントに完全に代替されていくでしょう。

 その結果、ミドルマネジャーに求められるのは、数値の管理ではなく「意味の管理」となります。組織の根源的価値観を語り、人々を同じ方向に向かわせる「価値観の伝道師」としてのリーダーシップです。

 数値の調整に忙殺されていた人々が、その制約から解放され、より人間らしい「創造性」や「社会との対話」にリソースを割けるようになる。これは日本企業の伝統的な強みである「現場の改善活動」や「信頼に基づくネットワーク」を、AIによってスケールアップ(大規模化)させる絶好の機会です。

【未来への展望】日本企業が「下克上」を果たすためのシナリオ

栗原:最後に、激変する2026年を生きるビジネスパーソンへのメッセージをお願いします。

琴坂:今起きているのは、単なるツールの進化ではなく「ゲームのルールそのものの再定義」です。過去の蓄積や規模の大きさが、かえって変化の重荷になる時代でもあります。現在、経営が上手くいっていない企業や、新しいルールを自ら構築しようとする挑戦者にとって、一発逆転を可能にする「下克上」の時代が到来したことを意味します。

 大切なのは、AIを単なる効率化の道具と見るのではなく、AIとともに「どのような未来を築きたいのか」という意思を持つことです。AIには提示できない「人間としての判断の妙」を大切にしながら、この複雑でエキサイティングな時代をともに楽しんでいきましょう。私のこの書籍も、完成された答えではなく、対話の始まりに過ぎません。学問も経営も、議論によってこそ進展するのですから。

栗原:本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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