コンピタンスの「5つの基準」で評価する
3.コンピタンスを評価する
最後に、リストアップされたコンピタンスを下記の5つの基準によって評価していきます。たとえば、各基準に照らし合わせて、0から5までの点数をつけてみましょう。総合的に高い点数を獲得したものは、持続可能な競争優位をもつ価値提案の拠り所となるコア・コンピタンスとなるでしょう(図表7)。
A:顧客価値
- それは、ターゲットとする顧客が認識できる価値の源泉である。
- それは、顧客ベネフィットを増やすか、顧客コストを軽減する。
- それは、現在の多くの顧客が重要視しているものである。
- それは、顧客が将来に向けても継続的に期待しているものである。
B:競争優位
- それは、顧客が我々の価値提案を選択する決め手である。
- 我々は、競合他社に比べてその実効性に優れている。
- 我々は、競合他社に比べてそれにかなりの投資をしている。
- 顧客が我々の価値提案を選択する決め手はそれにある。
C:将来性
- それを拠り所とする価値提案に対する需要が増えている。
- それは、将来の新しい価値提案の創造に寄与する。
- それは、将来参入する新しい市場を開拓する。
- それに対してマイナスの影響を与える脅威は少ない。
D:持続可能性
- 競合他社がそれを模倣するには、かなりの時間とお金を必要とする。
- それは、特許、商標などの法律によって保護することができる。
- それは、多くの眼に見えないものの組合せであるため、複製することは難しい。
- それは、買収や外部のリソースを通じて獲得することは難しい。
E:堅牢性
- それは、特定の個人やグループのものではなく、組織として定着している。
- それをサポートするための知識やノウハウを共有する仕組みができている。
- それをサポートするための情報システムが確立されている。
- それをサポートするための組織的なインセンティブが存在する。
いかがでしょうか? 繰り返しますが、価値提案の基礎となるものがコンピタンスです。コンピタンスの棚卸しやコア・コンピタンスの客観的な評価は、非常に重要です。是非、トライしてみて下さい。
本稿内の出典・参考文献を以下にまとめます。
- 「Managing Core Competence of the Organization」(Shirish C Srivastava)
- 「Core Competence Value Assessment Checklist」(Daan Andriessen Weightless Wealth Research)