戦略と現場を人・組織につなぐ「HRBP」──パナソニックグループが挑む事業に寄与する「組織開発」とは
ゲスト:パナソニック ホールディングス株式会社 戸島奈央氏、穂積慎一氏
組織開発とは戦略実行のための「組織機能の再設計」である
加藤:世の中では「組織開発」という言葉がよく使われますが、従業員同士の関係性を高める「共同体(感情・仲良し)」としての側面と、事業戦略を実行するための能力を整える「機能体(構造・プロセス)」としての側面があると考えています。
外資系の優れたHRBPは「戦略を実行するための組織の機能設計」を徹底的に行い、必要な役割(ポジション)を明確にした上で人をアサインします。一方で日本企業は、戦略からすぐに「誰をどこに配置するか」という個人の人事(時には玉突き人事)へ飛んでしまい、その間にある「組織構造やビジネスプロセスの再設計」をスキップしがちです。
穂積:加藤さんのご指摘は痛感するところです。日本企業は「共同体」としての側面を大切にするあまり、今いる人員をどう活用するかという発想から、無理に新しい部署やポストを作ってしまうことがあります。
私自身、組織開発の本質とは単なる「エンゲージメント向上(居心地の良さ)」だけではなく、「事業戦略を実行するための組織能力(ケイパビリティ)の構築と機能設計」であるべきだと強く感じています。
戸島:グループとして「組織カルチャー変革」を推進していますが、これは単に「仲良く居心地の良い職場を作る」ことではありません。事業成果を最大化するために、組織構造、報酬、評価、必要な人材スキルといった要素をいかにアラインメント(整合)させるかという取り組みです。経営要素を最適化する「OPM(Organization Performance Model)[1]」などのフレームワークを活用していますが、社内でも「単なる風土改革」と誤解されやすいため、その真意を丁寧に浸透させていく必要があります。
[1]David P. Hanna『The Organizational Survival Code: Seven Capabilities To Get The Results You Want』(2013年)
行動指針「PLP」を軸とした、組織文化という名のゲームのルールの再設定
加藤:組織文化(カルチャー)とは抽象的な雰囲気ではなく、「日々の仕事の進め方」や「どのようなルールで事業を戦うのか」というその会社固有のゲームのルールそのものです。パナソニックにおける行動指針である「PLP」もその軸になっているのでしょうか。

穂積:はい。「PLP(パナソニック・リーダーシップ・プリンシプル)[2]」はグループ共通の行動指針です。従来の経営基本方針を頭で理解するだけでなく、日々の現場の意思決定や行動において「何を行うべきか」、そして「何をしてはならないか(許されない行為)」を指針として具体化しました。
HRBPが現場でリーダーシップや評価の軸としてPLPを活用することで、組織の「前提となる勝ちパターンや価値観」を戦略に合わせて再設定する取り組みを進めています。
[2]パナソニックホールディングス株式会社「Panasonic Leadership Principles」
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