企業活動に「コンピタンス」と「リソース」を配置する
ここで再度、ビジネスモデルのオペレーション基盤の構造を示してみましょう(図表8)。
もし皆さんが、前回および前々回ご説明したコンピタンスとリソースの属性サンプルを思い出していただければ、各プロセスグループにそれらを配置していきましょう(図表9)。
皆さんの会社がバリューチェーン型の価値構成であれば、各プロセスグループに必要とされるコンピタンスやリソースを列挙していきましょう。たとえば、製造に必要な最低限のコンピタンス、競争優位の源泉となるコア・コンピタンスは何でしょうか?そのコンピタンスが活用するリソースは何でしょうか?
理解を促進するために、サンプルとしてモントルー・ジャズフェスティバル(スイスで年1回行われる音楽祭)のケースを取り上げてみましょう(図表10)。このケースは、バリューネットワークの典型例ですね(図が複雑になるためにコンピタンスは省略しています)。
2つほど注意点があります。1つ目は、必ずしも全てのアクティビティを自社で履行する必要はないことです。これにつきましては次回ご説明していきますが、サプライヤーやパートナーといった外部の協働ネットワークは、コンピタンスを補完するとともに、価値構成に関与することがあります(図8をもう一度ご覧になってください)。2つ目は、プロセスグループを計画、実行、監視という3つの活動サイクルで考えた場合、計画と監視については異なる価値構成タイプ、通常はバリューショップ型の活動が必要となることです。モントルー・ジャズフェスティバルのケースでもう一度見ていきましょう(図表11)。
価値構成の定義手順
最後に、いつもの通り価値構成の定義手順を整理しておきましょう(図表12)。
- 主要な価値提案とそれに関連するターゲット顧客、チャネル、顧客リレーションシップを選択する。
- その価値提案を生成するために必要な価値構成のタイプを明確にし、その中の主要なプロセスグループをリストアップする。
- 全ての主要な価値提案、ターゲット顧客、チャネル、顧客リレーションシップのセットに対するプロセスが特定されるまで繰り返す。
いかがでしたでしょうか?現代において、価値を生成・提供する仕組みには多様なものがあることをご理解いただけたかと思います。次回は、オペレーション基盤の3つ目の要素である「協働ネットワーク」についてご説明いたします。
(参照)
・価値構成の定義
Configuring Value for Competitive Advantage: On Chains, Shop, and Networks (Charles B. Stabell and Oystein D. Fjeldstad)
・モントレー・ジャズフェスティバルの価値構成
「Business Model Ontology(Alexander Osterwaler)」