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ティナ・シーリグ教授が語る、クリエイティブであるための「観察」と「マインドフルネス」

『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』著者 ティナ・シーリグインタビュー(前編)

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 2016年3月、新刊『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』のプロモーションのため、著者のティナ・シーリグ氏が来日。広く日本の読者に支持された前著『20歳のときに知っておきたかったこと』(2010年)の発展編ともいえる本書の内容について、本誌ビズジンの対談連載『Design×Management=Innovation 』でホストを務める佐宗邦威氏がインタビューした。今回は前編として、クリエイティブであることに関して議論が及んだインタビュー内容をお届けする。

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クリエイティビティは「誰もが持っていて、やり方しだいで開花できるもの」

佐宗(biotope 代表取締役社長):
 ここ数年で、デザイン思考などの考え方が日本でも広まってきました。ビジネスパーソンが創造性を自由に発揮し、イノベーティブな行動を起こす。それが繰り返されるようなサイクルを作る。今日は、こうした動きやクリエイティビティ教育についてティナさんのお話をお聞きしていきたいと思います。

シーリグ:
 私がみなさんに伝えたいのは、自分はクリエイティブだと思っていいんだ、ということ。そして、自分の持つ創造性を発揮する力は「学んで身につけられるスキル」だということ。実際に創造性を発揮するために使えるツールはたくさんあります。『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』でもそのために役立つツールをいろいろ紹介しています。

 2010年に『20歳のときに知っておきたかったこと』が日本で発売されると、日本の若い読者から「誰もがクリエイティブになれる」「自分の人生の道は自分で作っていける」「問題は機会と捉えればコントロールできる」「ルールを破って新しいことをしよう」「常識を疑おう」といった私のメッセージを心強く思ったという感想がたくさん届きました。

佐宗:
 ところが日本でも2年ほど前から、みんながクリエイティブになれる機会や場を与えたり、作ったりする動きが出てきました。コワーキングスペースやハッカースペースなどですね。そうした流れについてはどう思われますか。

シーリグ:
 それで感じたのは、日本は今、たいへん興味深い変化の時を経験しているのではないか、ということでした。伝統的な昔ながらの物事の進め方が残っている一方で、若い人たちは自分の親たちのような生き方を望んでいない。自分の国については、さまざまな課題を抱えながらもチャンスもあると感じていて、物事の進め方を変え、新しいことに取り組むべき場と見なしている。このように思うのですが、佐宗さんはいかがですか。

佐宗:
 なるほど。私は、ティナさんがそのようにお感じになった理由にむしろ興味が湧いたのですが。

シーリグ:
 読者からの手紙です。手紙の中で彼らは、私の本のおかげで自分自身の見方が変わったと言ってくれました。日本の社会は上下関係が厳しく、正しい答えはひとつだけ、上司の言うことはすべて聞かなければいけない、組織は非常に秩序立って動く、といった傾向がありますよね。若い人たちにとっては、これらとは反対のものの見方や、今そこにあるチャンスをより広い視点で見ようといった考えがとても刺激的だったようです。

佐宗:
 本当にそうですね。最近、日本では、どちらかというとキャリアチェンジに保守的なエンジニアなども含めて、大企業に勤める若者が会社を辞めて起業するといった動きが活発になってきています。そういうスピリットを持った人たちが活躍できるチャンスも以前より広がっています。この5年くらいで、そのような環境の変化が加速していると見ています。

タイトルティナ・シーリグ Tina Seelig
スタンフォード大学医学大学院で神経科学の博士号を取得。現在、スタンフォード大学工学部教授およびスタンフォード・テクノロジー・ベンチャーズ・プログラム(STVP)のエグゼクティブ・ディレクター。米国立科学財団とSTVPが出資するエピセンター(イノベーション創出のための工学教育センター)のディレクターでもある。さらに、ハッソ・プラットナー・デザイン研究所(通称d.school)でアントレプレナーシップとイノベーションの講座を担当。工学教育での活動を評価され、2009年に権威あるゴードン賞を受賞。著書に『20歳のときに知っておきたかったこと』『未来を発明するためにいまできること』『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』(いずれもCCCメディアハウス)などがある。

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