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人工知能社会論からの考察

AI時代に「人文社会科学」は不要なのか?

第1部:人工知能社会論とは何か?(第1回)

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AIを「人文社会科学」のレンズから考察する

 私たちはまだ、「意識とは何か?」といった問いに対する答えが得られなくても、別段不便を感じることなく日々の生活を営むことができる。だが、高度な自律性を持つAIやロボットが出現したあかつきには、責任や意識、創造などに関する根源的な問いに誰しも直面せざるを得なくなる。そうした未来はあっという間に訪れるので、今から準備的に議論しておく必要がある。

 哲学の実学的な価値は今後ますます高まっていくだろう。哲学を趣味道楽として楽しみたいと願う当の哲学者にとっては、はた迷惑な話かもしれない。AIをめぐる議論などに巻き込まれたくない、プラトンやアリストテレスの著作を愛でるだけの人生を歩んでいきたいと言うかもしれない。
 しかし、実学的な価値は置くとしても、「デカルトにとっての時計」や「フロイトにとっての熱力学」といったように、過去の哲学者・思想家の思考は、その時々の先端的な科学技術に触発されてきた。現代ではAIを通じて思索を深めることができるはずで、過去の文献の解読ばかりしていてはもったいない。

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この記事の著者

井上 智洋(イノウエ トモヒロ)

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