SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

【出張版】M&A Online

新事業が祖業を逆転したセコム流M&A、今後の勝算は?

M&AアーカイブスVol.4 セコム<9735>

  • Facebook
  • X
  • Pocket

セコムグループの財政面の変遷

売上高、営業利益、営業利益率の推移■売上高、営業利益、営業利益率の推移

 最後に注目したいのが、セコムの財政面の健全性についてである。先に示した一覧表にあるとおり、同社は事業領域を拡大するために非常に多くのM&Aを繰り返してきた。創業者で取締役最高顧問の飯田亮氏は「社会的に意義のある事業なら、リスクを恐れず挑戦する」との方針を打ち出し、「いずれ既存事業と結びつく」と直感的に判断した案件も多いという。それらの実行には巨額の資金やリスクが伴うものだが、セコムの財務状況は下図のとおりである。

自己資本比率、有利子負債比率の推移■自己資本比率、有利子負債比率の推移

 直近の15年3月期の同社の自己資本比率は53.6%、有利子負債比率は8.2%と安定性がかなり高い状況にあることが見て取れる。03年3月期には合計2,100億円以上もあった有利子負債額が、15年3月期には700億円へと約3分の1にまで圧縮され、自己資本比率もここ数年は50%を超えて推移していることも分かる。

 この財務体質を支えているのが、祖業のセキュリティサービス事業の利益である。セグメント別の利益で見ると、同事業だけで15年3月期は1006億円の利益を創出している。この数字は業界2位の綜合警備保障のセグメント別利益(セキュリティ事業 238億円)の約4.2倍であり、圧倒的な利益創出が際立つ。

 企業ドメインを軸に、「安全・安心」そして快適で便利な社会の創造のために大胆かつ柔軟にM&Aを活用するセコム。単なる事業多角化ではなく常にシナジーを前提とした買収により、高い成長性を実現している。

 積極的なイメージがある同社だが、一方で海外展開は思いのほか進んでいない。

 04年3月期に117億円だった海外売上高は15年3月期では441億円と売上高こそ3.7倍に成長しているが、ボリュームの大きい国内事業も成長しているため、売上高構成で見ると2%が5%になった程度で、微増に過ぎない。

セコムの海外売上高の推移■セコムの海外売上高の推移

 今後のセコムのM&Aでは、海外案件に注目が集まりそうだ。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

本記事は、M&A Onlineに掲載された記事を再編集して掲載しております。

M&A OnlineM&A Onlineは「M&Aをもっと身近に」をテーマに、M&A(企業の合併・買収)、またそれに関する身近な情報を広く一般の方々に提供するメディアです。情報の収集・発信を行いながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を見届けたいと思います。
URL: http://maonline.jp/

▼ Biz/Zine(ビズジン)の記事更新情報はこちら▼

*気になるセミナーレポートや連載記事の更新情報に関しては、下記Facebookページに「いいね!」をお願い致します。また、下記Twitterの「フォロー」をお願い致します。これによって、Facebook上でBiz/Zine(ビズジン)の記事更新情報などが配信され、Twitterのツイートが配信されるようになります。
●Facebookページ:https://www.facebook.com/bizzine
●Twitter:https://twitter.com/SE_bizzine

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
【出張版】M&A Online連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

M&A Online編集部(エムアンドエーオンラインヘンシュウブ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング