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データ分析×ロジカルシンキング

「感度分析」を使って、相手を“おぉ!”と唸らせるシミュレーション結果の見せ方

第3部:Excelによる事業利益のシミュレーション(第4回)

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意思決定者の知りたいことは何か、今一度考えてみる

 ある事業の利益計画を作ることの最初の目的は、その事業の採算性を示し、意思決定者に「GO!」の意思決定を仰ぐことではないだろうか。その場合、最低限必要となるのは、「いつ、いくら儲けが出るのか」であり、できるだけ可能性の高い前提に基づいた結果を示すことが重要になることはこれまで紹介してきた通りだ。

 ところが、意思決定者にもよるが、「一つだけ(もしくは数パターンの前提に従った数個のシナリオ)」の結果だけで意思決定するにはそれなりの“覚悟”が必要となる。

 例えば、

  • その中の前提の一つが外れたらどのくらい事業に影響が出るのか
  • 売上予測が前提より5%増えたらどのくらい余裕ができるのか
  • 製造原価が前提より3%増えると同時に、競争により販売価格を2%下げざるを得ないとしたら、利益にどのくらい影響が出るのか

などなど、「もっと知りたいこと」や「気にし出したら心配なこと」はキリがないのも事実だ。

 では、これら全てとは言わないまでも、意思決定者の関心が高いものや最終結果に影響が大きいものについては、より詳細な結果情報を見せることで、より“意思決定し易い”状況を作ることの効果も提案側としては考えてみるべきではないだろうか。

 具体的には、ある前提の値が少しずつ変わると、それに伴って結果(ここでは5年後の累計利益としよう)がどう変わっていくのかをシミュレーションすれば良い。例えば、下図の「販売数の年間増分を0%、1%、2%・・・・6%」などと変えていき、その都度5年後の累計利益の変化を記録すれば、欲しい情報は得られることになる。

5年後の累計利益の変化

 ただ、それをマニュアルでやろうとするなら、一つ一つ前提を手入力で変えながら、その度に結果を記録し、纏め上げるという膨大な作業になってしまう。

 更に、対象とする変数をもう一つ加え、同時にそれぞれ5つの前提で結果の変動を見ようとすれば、25通り(5×5)の結果が出てくる。もちろん、その度に手作業も発生する。これは是非避けたいところだ。

 そこで登場するのが「感度分析」という考え方だ。“感度”とは、最終結果が、ある前提の値の変化に対してどの程度の“変化の大きさ”を持っているか示すものだ。前提を少し変えただけでも、結果が大きく変わるものは、“感度の大きい”変数としてそれなりの注意が払われるべきであろう。そして、ただ単に注意を払うだけではなく、どの程度の影響があるのかも知っておくべきだ。

 これをせずに、一本の計画でとりあえず事業を走らせ、様子を見ながらも「あとは野となれ山となれ」という運営と、予め何がどう変わると結果にどのくらい影響が出るのかを押さえているのとでは、後の対応にも雲泥の差を生むであろう。

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この記事の著者

柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)

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