日本の製造業の象徴であるシャープを買収し、一躍注目を浴びる台湾発の世界トップ企業の鴻海。もともとプラスチック加工工場から始まり、創業1年で経営難に陥りましたが、当時流行し始めていた白黒テレビのつまみを製造することで成長路線に乗り出すことに成功。すさまじい勢いで売上を拡大し、2015年の収益は4.7兆元(約15兆円)に達しました。
そんな鴻海を1974年の創業から40年以上も率いているのが郭台銘氏です。2014年に台湾で出版された『鴻海帝国的背後機密』の邦訳にシャープ買収騒動を加筆した『鴻海帝国の深層』では、郭氏が創業時から悪戦苦闘してきたエピソードを紹介しながら、そのビジネス哲学を紐解くことで、鴻海がいかにして現在の地位に上り詰めたのかを分析していきます。
郭氏や鴻海のビジネスに関心がある方だけでなく、成長を支えてきた理念から学びを得たい方にとっても、本書は読みがいのある1冊となっています。トップシェア企業を顧客にするというビジネスの目のつけどころ、あるいは社員への多大な利益還元など、これからの会社のあり方を考えるうえでも、参考になるのではないでしょうか。
目次
1章 50万から1兆へ――鴻海の台頭
2章 あえて独裁者となる――郭台銘という人物
3章 人を率いるなら、心を率いよ!――郭台銘のリーダー術
4章 四流人材を、才能ある人材へ 1
5章 四流人材を、才能ある人材へ 2
6章 スピード=コスト――魔物はすべて細部に隠れる
7章 鴻海の中核的競争力 1
8章 鴻海の中核的競争力 2
9章 中国に根を張り、全世界へ――鴻海のグローバル戦略
10章 一流の顧客――鴻海が成長し続ける理由
11章 総合判断力――郭台銘、成功の秘訣
12章 健全な財務構造――株主を選び、大きな借金をしない
13章 鉄の男の熱き想い――郭台銘の愛と慈善
14章 郭台銘のいない鴻海――引退後の郭台銘と鴻海の未来