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システムシンキングでビジネスモデルを検証する方法

第21回

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ラテラル・シンキング(水平思考)とロジカル・シンキング(垂直思考)

 前回のおさらいからスタートしていきましょう。前回は、事業体を取り巻く外部環境の機会と脅威、ビジネスモデル内部の強みと弱みの相互作用から、行動方針(戦略や戦術)を導くためのアイディア創出ツールとしてTRIZ(発明的問題解決理論)およびSCAMPER(アイディア発想ツール)をご紹介しました(図1はTRIZによる問題解決アプローチ)。

 これらは、「ラテラル・シンキング(水平思考)」と呼ばれるもので、ある要素に対して「他の方法は?手段は?アイディアは?」と発想を横に展開していくアプローチです。ちなみに、ロジカル・シンキング(垂直思考)は「なぜ?どうやって?」という深堀していくことによって解決方法を発見しようとするアプローチです。ロジックツリーなどは、ロジカル・シンキングの典型的な思考ツールです。

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TRIZによるSWOT分析図1:TRIZによるSWOT分析

システム・シンキングが有効な理由

 今回取り上げるシステム・シンキングは、「システム」という概念を使うことによって、分析対象全体の動的な側面を包括的に捉えようとする思考方法です。ここでいうシステムとは、IT分野で使われる意味だけでなく、秩序ある全体として相互依存しながら振る舞う要素の集合体を指します。そう、ビジネスモデルもシステムとして考えることができます。

 システム・シンキングは、1950年代にマサチューセッツ工科大学(MIT)で生まれ、その後、「学習する組織」で有名になったピーター・センゲ教授をはじめとする研究者や実務家によって広められてきました。

 私たちは、ビジネスの領域であれプライベートの領域であれ、何か問題が起こった時に、その問題の近くで解決策を見つけようとする傾向にあります。「年度の売上目標が未達になりそうなので、顧客にお願いして前倒しで納品する」などの行為は、その典型でしょう。このようなやり方では、「昨日の解決策が、今日の問題を生み出す」結果になりがちです(図2)。

Arnie Levin氏による風刺画図2:Arnie Levin氏による風刺画

 システム・シンキングは、このような近視眼的な考え方を避けるための有効なアプローチです。それは、対象の全体性を認識するために、個々の構成要素ではなく、その相互作用に基づく動的な関連性に焦点を当てるものです。まずは、システム・シンキングの中核となるツールである「因果ループ図」について簡単にご説明していきましょう。

次のページ
システム・シンキングの中核「因果ループ図」とは?

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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