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テクノロジーの未来予測に「正解」はあるのか(ケヴィン・ケリー『テクニウム』)

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時計を巻き戻しても、同じ抽象系のテクノロジーがあらわれる

 本書は「テクノロジーも必然であり、その進化も生物と同じように収束していく」と考える。それではテクノロジーを形作るものとは一体何か。著者は次の3つの力を提示する。

  1. 構造的必然性:あらかじめ定められ展開する牽引力
  2. 歴史的偶発性:過去の引力としてのテクノロジーの歴史
  3. 意図的開放性:社会の集団的自由意思、我々の選択

 「構造的必然性」は、先に述べた「テクノロジーの順番」だ。ある条件が揃えば、テクノロジーは必然として次の段階のテクノロジーを生む。これは生命における「収束進化」に対応する。

 ただしそのディテールは一定でない。本書によれば、スペースシャトルの部品は鉄道輸送時にトンネルを抜けられるサイズとされたが、近代の鉄道の幅はローマ帝国時代の馬車の軌道に基づくことを指摘する。つまりスペースシャトルは、遥かにローマ帝国の影響を引きずっている。これが歴史的偶発性だ。

 時計を巻き戻してやり直すと、あるテクノロジーの仕様や表現方法は、もしかしたら違ったものになるかもしれない。しかしテクノロジーの抽象系は必ず決まった順序で歴史に出現することになる。本書は発熱電球にたとえて、次のように述べている。

電球の形状が、タングステンのコイルが楕円形の真空の管に入った形なのは必然ではないが、電気式の白熱電球は必然なのだ。

テクニウムの進化と、生命の進化

 テクノロジーを形作る3つの力と生命の自然選択に働く3つの力とを比べると、次のようになる。

生物的進化とテクノロジー進化の三連構造生物的進化とテクノロジー進化の三連構造(本書掲載図を引用)

 3つめの力「意図的開放性」は、生命の「機能的適応性」に対応する。テクニウムの進化が生命のそれと異なるのは、テクニウムにはそれを生み出す人間の意図が働く点だ。ただし本書は、テクニウムが進化し人間の手を離れれば、その影響もいずれ失われると予想している。

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未来は予想できる

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弦音 なるよ(ツルネ ナルヨ)

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