誰の協力を得て、どのように価値を生成しているのか?(オペレーション基盤)
「価値提案」を可能にする、“独自能力のタイプ”と“経営資源の分類”
「コンピタンス」とは、「価値提案」の拠り所となる企業の独自能力を意味するものです(図7)。ホンダはエンジン技術力をベースに様々な製品を提供していますし、カルチュア・コンビニエンス・クラブは顧客洞察力を通じて様々な企業と提携を行っています。コスト効率、信頼性のあるシステム、外部との緊密な関係性、イノベーション推進力、アジリティとスピードという5つの典型的なコンピタンスのタイプを取り上げますので、自社のコンピタンスがどのタイプに相当するか考えてみましょう。
次に、これらのコンピタンスを発揮するために保有している「リソース(経営資源)」をリストアップします。人的(ヒト)、物的(モノ)、財務(カネ)、知的リソースで分類していくとよいでしょう。
「価値提案」を可能にする、“重要な活動の選択”と“活動プロセス”
「価値構成」とは、価値提案を構成するオファー(プロダクトやサービス)を作って提供するために必要な活動の本質を表すものです(図8)。最初に、「バリューチェーン(何かを仕入れて製造もしくは価値を付加して販売するタイプ)」、「バリューショップ(特定の顧客の問題や課題を解決するタイプ)」、「バリューネットワーク(何らかの事業プラットフォームを中核にサービス提供や取引仲介をするタイプ)」から選択しましょう。1つの事業が複数のタイプから構成されている場合は、分解してみると理解が進むかもしれません。
次に、具体的な活動をリストアップしていきます。伝統的な製造業であれば、購買物流、製造、出荷物流、マーケティングと販売、サポート(主要活動)、調達、技術開発、人事と労務、全社管理(支援活動)をベースに洗い出していけばよいでしょう。
「パートナー」を探す際に重要な“取引関係の形態”と“協業目的の整理”
「協働ネットワーク」とは、自社がビジネスを行うために協力してくれている第三者との取り決めを表すものです(図9)。最初に、主要な企業や個人をリストアップし、どのような形態を取っているのかを明確にしましょう。典型的なタイプとして、「個別機能アライアンス」、「戦略的アライアンス」、「コーペティション」、「ジョイントベンチャー」、「バイヤー・サプライヤー関係」を挙げておきます。
次に、それらの協力関係の目的を明確にします。目的のタイプとして、組織的(リソースの補完など)、経済的(規模の経済追及など)、戦略的(イノベーションの創造など)、政策的(新市場への浸透など)要因に分けることができます。
「価値生成の構造」を整理しておきましょう(図10)。ここでは、各々の活動が何のコンピタンスに依存して、何のリソースを入出力としているのか、協働ネットワークが何の活動に関与して何のコンピタンスを補完しているのか、を検証していきましょう。