業務連絡やタスク管理に人間味を添える「スタンプ」「ルーチンマン」が活躍
――「チャットワーク」をカスタマイズして使われているとも伺いました。
武井:
エンジニアの近藤さんが作った「スタンプ」の機能はかなり使っています。
近藤(ダイヤモンドメディア株式会社 エンジニア):
もともと画像を投稿する機能はあるんですけど、そのときに表示される画像の周りの枠やファイル名を消してスタンプっぽくすることができるボタンを作りました。
岡村:
スタンプとか絵文字でチャットを楽しい雰囲気にするのは大事だと思います。会社さんによってはチャットなのに「お世話になります」から始まってかなり硬い雰囲気だったりするのですが、それではコミュニケーションが円滑にならないので。
近藤:
私はクライアントさんが相手でもあえてカジュアルな口調で投稿して、それに慣れてもらうようにしていますね。
岡村:
さらに重要なカスタマイズは、「ルーチンマン」ですね。「チャットワーク」のAPIを使って作った自動投稿機能です。
近藤:
最初はたまっているタスクを「怒る」ところから始まったんですよね。「チャットワーク」にはタスク登録の機能がありますが、会話を目的に使っているとタスクの一覧にはなかなか目が向かないので、1日1回、期日を過ぎているタスクを通知するようにしました。
ただ、通知がいつも同じ言葉だと機械的に見えてスルーされてしまうので、ちょっとツッコミを入れたくなるような一言を入れたりするんです。Google スプレッドシートで設定ができるのですが、相手によってセリフを変えたりもできるので、内輪ネタを入れたり、すごく厳しい感じにしたり……。
岡村:
私にはいつも優しいメッセージがきますよ。自分で設定しているのですが(笑)。
今では「ルーチンマン」が、「今日は月曜日なので、17時から掃除ですよ」といったリマインドの投稿をしたり、自動でタスクを振ったりもします。備品のチェックや経費精算など、定期的に発生するタスクも「チャットワーク」に登録するのですが、それを人がやっていると、タスク登録自体を忘れたりするので。
武井:
「人の管理」って一番嫌な仕事なので、ホラクラシー的には放棄したいんです。でも、放棄して業務が止まってしまうことがないように、そこを「ルーチンマン」にやってもらっているわけです。
近藤:
「ルーチンマン」の仕事はかなり増えましたよね。最近では、月に1回の社内勉強会に登壇する3人をランダムで決めてタスクを振る、というのも作りました。
岡村:
「チャットワーク」はみんな必ず見るので、そこに情報をプッシュするというのが効果的なんですよね。
武井:
「チャットワーク」上でコミュニケーションが活性化しているのは、みんなの間に情報格差がないという前提があるからだと思います。そういう意味で、ホラクラシーと「チャットワーク」は相性がいいんですね。
すべてのデータをオープンにしていると、「チャットワーク」で「見といて」と連絡するだけで済むので、報告のための会議というのがなくなりました。ブレストもできるし、僕の立場だと、「チャットワーク」の各グループでのやり取りを眺めているだけでも各プロジェクトが上手くいっているかどうかが分かるのでありがたいです。集まって会議をするのは、本当に重要なタイミングとか、アナログなコミュニケーションを取ったほうが早いときだけになりましたよね。
岡村:
新規事業の立ち上げのときなんかは集まりますね。それくらいなので、「レイバー」で見ていると会議にかけている時間は1人平均週に3.5時間くらい。全く会議がない人もいます。
【取材を終えて】
いつどこで働くのも自由、上下関係がなく、なるべく管理をしないというと、ともすると人間関係がドライになり、組織への帰属意識も希薄になりそうだ。しかしダイヤモンドメディアでは、「チャットワーク」で頻繁かつカジュアルなやり取りをすることで、デジタル上に仲間の存在をリアルに感じられる場ができ、かえって一体感が醸成できている。どこからでもアクセスしやすい、「会話のしやすさ」にフォーカスしたシンプルなユーザーインターフェースといった「チャットワーク」の特徴が、功を奏しているようだ。