アレックス・オスターワルダー、来日セミナーレポート

ビジネスでは「外科医であり、建築家であり、科学者であれ」

[公開日]

[取材・構成] 有須 晶子 [編] BizZine編集部

[タグ] スタートアップ ビジネスモデル デザイン思考 競争戦略

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

セミナーでの質疑応答セッションから

質疑応答の様子▲ 写真:質疑応答の様子

Q1:ビジネスモデルキャンパスには、社会状況、経済、競合他社など、外部環境の要素が入っていないのはなぜですか。

A1:講演でお話しした、外科医の例を思い出してください。彼らは多くのツールを使いこなせなければなりません。ビジネスでも同様で、ビジネス環境に関しては、ビジネスモデルキャンバス以外の別のツールが必要です。ビジネスドクターとしては、いろいろなツールを同時に使いこなせなければならないということです。

 今日のビジネス環境で戦略を立て、イノベーションを実施していくことは、外科手術と同じくらい難易度の高いことだ、という点では皆さんに同意していただけるのではないでしょうか。

 あらゆる問題に対応可能なたった1つのツールなどありません。将来的には、もっといろいろなビジネスツールが登場してくるでしょう。

 今回は、ビジネスモデルを作るためのツールを獲得していただきましたが、たとえば、組織文化を扱うためのツールなどもあっていいと思います。実際、ビジネスカルチャーを扱うためのツールを開発しようとしている人などもいます。

Q2:開発部門に所属していて、直接、顧客と接する機会がありません。このような環境で、どうしたら顧客からビジネスの種を拾い上げることができるでしょうか。

A2:今日、R&Dはもはや破綻しています。ほとんどの企業のR&Dは、製品と技術の開発に注力し、そこに莫大な予算を充てていますが、ネスプレッソの例を思い出してください。成功したのは、製品そのものではなく、ビジネスモデルでしたね。

 製品開発に大きな予算を割り当ててもかまいませんが、開発した製品のためのビジネスモデルを構築するためにも同様に予算をとるべきです。

 R&Dチームにビジネスモデルを理解させる体制を構築するべきですね。会社の上層部が承認しない限り、R&Dチームが顧客接点を持つということは実現しませんから、ぜひ会社の上層部を説得してください。

 R&Dチームにビジネスモデルを理解させる、顧客接点を持たせるためには、新しい組織構造が必要になります。この点がなかなか難しいですね。単に顧客に会いに行けばいいというものではなく、社内で適切な組織構造を整え、顧客に会いに行ける機会をその中に組み込むようにしなければいけません。

講師プロフィール
アレクサンダー・オスターワルダー

 組織における計画的かつ実用的なビジネスモデルイノベーションについてのアドバイザー。起業家や経営者に最新事例と、その成功要因や共通するパターンを啓蒙している。イブ・ピニョール氏(ローザンヌ大学教授)と共に開発したビジネスモデルキャンバスはGE、インテル、P&G、3Mなどの多国籍企業やスタンフォード、MIT、UCバークレー校、IESE、IMD他、数多くのビジネススクールで実践されている。

バックナンバー