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「レンタル移籍」で先行する2社と入山章栄氏が語る、社外での挑戦が必要な理由

LoanDEALフォーラム2017春 基調対談: 入山章栄氏 × NTT西日本 猪倉稔正氏 × トレンドマイクロ 成田均氏 講演録

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 大企業が自社の人材をベンチャー企業にレンタル移籍させる、そんな取り組みが広まっている。株式会社ローンディールが展開する企業間レンタル移籍プラットフォーム「ローンディール」は、出向や研修派遣といった契約形態で半年~1年間、自社の人材をベンチャー企業のプロジェクトに参加させる仕組みだ。先日、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、トレンドマイクロ株式会社といった大手企業でのレンタル移籍の導入が発表された。では、実際にこの制度を導入した会社はどのような狙いを持っているのだろうか。

社外での挑戦はイノベーションのためにある

入山章栄早稲田大学ビジネススクール 入山章栄 氏

 対談に先立ち入山章栄氏から、「なぜ社外での挑戦が必要か」と題した講演が行われた。

なぜ社外での挑戦が必要なのか。それは、イノベーションを起こすためである。

 入山氏の見解は明快だ。新しいこと、つまりイノベーションは「今ある既存の知と別の今ある既存の知の新しい組み合わせ」から生まれる。かつては、まだ試されていない組み合わせの余地が多くあったために、自社内・業界内で組み合わせを行うことでも新しい価値を創造することが可能だった。ところが今や業界内での組み合わせは、やりつくされてしまった。

 そのような状況下でイノベーション、つまり新たな価値創造を行うには、なるべく遠いところにある知と既存の知の組み合わせる必要がある。(これは経営学ではexplorationと呼ばれる。入山氏は日本語で「知の探索」と呼ぶ)新たな組み合わせと、そこで見いだされた価値を深掘りしていく(exploitation、知の深化)、この両方をバランスよく組み合わせていくことが、中長期的にイノベーションを起こしていくためには重要である。ところが、企業活動は既存の価値の深掘り(知の深化)に偏ってしまい、新しいものが生まれにくくなってしまう。

 企業にとって新しい組み合わせを生むために重要なのは「2つレベルのダイバーシティ」だ。多様な人が組織に集まる「組織的なダイバーシティ」と、個人の中にある経験や知見を広げる「イントラパーソナル・ダイバーシティ」である。そのような人材を増やすために必要なのは、人が動くことである。知は人が持つものだ。したがって、人が動き、知を組み合わせることによって、新しい組み合わせが生まれる。

 従来の日本企業は新卒一括採用、終身雇用制で、会社には同じような人が長くとどまっていた。しかしこれは、イノベーションの源泉である「新しい知と知の組み合わせ」から一番遠いのである。逆に現在、副業解禁、ベンチャー企業への出向など、社外での業務経験が注目されているのは、新しい組み合わせを起こせる人材を増やすために、つまりイノベーションのために有効だからなのである、として入山氏の講演は終わった。

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