“従来型の銀行サービス”が終焉に向かう時代に、デザインが変革で役立つコトとは?

Design as strategy:第5回

 銀行業界が激動の時代を迎えている。これまでデジタル化の波に後れを取ってきた銀行業界も、これからは新しい波に順応する以外に生き残る道はないと気づき、そして、成熟したオンラインユーザーの要求に応えるには、すでにあるデジタルサービスの質も向上させる必要があると認識している。業界全体が揺れる中、小さくとも実力のある新たな参入者たちで溢れかえっている。本稿では、この世界的な変化の原因を、例を交えて考えたい。

[公開日]

[著] オーグスティン・ヒメネス(Designit) [訳] 齊藤麻衣(Designit)

[タグ] デザイン思考 企業戦略 UX フィンテック FinTech デザイン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

銀行の「歴史や大きさ」が、さほど意味を持たない時代に必要なコトとは?

銀行の機能は必要だが、いまある銀行は必要なくなる。
ビル・ゲイツ (1994年)

 ビル・ゲイツが語ったこの言葉は、今まさに起こっている Fintech (フィンテック) 革命を予言したものだと言える。銀行家の息子でもあるゲイツは、銀行が重要な信用機関であるのはもちろんだが、しかしそこで最終的に取り扱われるのは情報である、ということに気が付いていたのだ。そして時代とともに、情報を取り扱うための手段はより早く、より良く、そしてより安くなっていくのは明白だ。

 

ずたずたにされる銀行

銀行はもっと良くあるべきだ、というところからMonzoは始まった。
Monzo.com*1

 資産運用の相談、資金の移動、カード、ローン、モバイル決済、オンラインバンキング、取引の仲介など、これまで銀行の業務として考えられてきたサービスの代わりとなるものはいまや溢れんばかりだ。銀行同士でのサービスの競争だけではなく、若いエンジニアやデザイナーのチームによって運営されるサービスが日々生み出されている。

 これは他の業界にでも当てはまることだが、これらの新しいサービスは、既存のサービスを包みこむ新たなレイヤーとして存在する。API革命やB2Bの卸売など、サービスやインフラが規格化され商品化されることで、小さな会社でも大企業と競争することが可能となった。

 自らの存在を、潰れるには大きすぎる、ととらえる銀行業界が未だに見落としているのは、デジタル化が進む現代において、その大きさにはあまり意味がないということだ。いまや業界は無数の競争相手とのゲリラ戦に巻き込まれつつある。そしてその競争相手は、これからのターゲットである若い世代の利用者と同じ言葉を操つる上に、動きも早い。

タイトル

銀行は透明性が欠如し、私たちを欺く。だから、Transferwiseが存在するのだ。
Taavet Hinrikus, Transferwise*1 創業者兼CEO

 “ダビデとゴリアテ” 的な、小さな者が大きな者を倒すという痛快な構図もこれらスタートアップの成功原因のひとつとしてあげられるだろう。若い世代に特化した新しいサービスが支持される一因として、漠然とした銀行に対する不満が存在している。そうした不満のほとんどは購買行動の進化に起因している。

*1. https://monzo.com/
*2. https://transferwise.com/jp/

バックナンバー