市場拡大の加速度に着目する
2009年、インターネットにつながっていたモノは25億個あったとされていますが、2015年には180億個に、そして2020年には500億個に達するであろうという予測があります。IoTはそんな勢いで市場を急速に拡大しつつあります。
急速に拡大する市場への参入は技術も未成熟で変化も早く、その動きに追従し、さらには先取りして取り組むことは容易なことではありません。また、そこで使われている様々な技術が将来生き残るかどうかも市場の評価が固まっていない段階ですから、リスクがあります。一方で、市場に加速度がありますから、ちょっとしたアドバンテージが短期間で大きな差を生みだす市場でもあるのです。
新しい事業は、このような市場の加速度があるところに着目すべきです。既に確立された大きな市場は強豪がひしめいています。そのような市場で闘うことは容易なことではなく、先行企業の圧倒的な競争力で潰されるか価格競争を強いられるかのいずれかであり、ビジネスとしてのうまみはなかなか得られません。
いまは規模が小さくても加速度のある市場にいち早く参入することです。自分たちが未熟であってもお客様も競合他社も未熟です。だからこそ、ITの動向を見据えて、自分たちだけでやろうとはせず、オープンにできる人たちを巻き込むことです。そうやって一歩先んじることで市場でのイニシアティブを確保することができるのです。
「きっと誰かがやる」ことに着目する
建設工事自動化サービス「スマートコンストラクション」を提供しているコマツは、ブルドーザーやパワーショベルなどの建設機械を作り販売している会社でもあります。そのコマツが自社の製品を販売せずサービスとしてお客様に提供することは自分たちの本業の足を引っ張ることになるのではないかと、コマツの事業責任者に尋ねたことがあります。すると彼は次のように話してくださいました。
「いずれ同じようなことを他の会社もやり始めるでしょう。ならば、他社がはじめる前に自分たちがはじめて、いち早くノウハウを蓄積し他社に先行することが得策だと考えたのです。」
コマツはいま現在この分野では他社の追従を許さない圧倒的な競争優位を築いています。また、少子高齢化が進み建設労働者が確保できない時代を迎えつつある一方で、建設需要は拡大しており、そんな需要に対応するためにもこのような取り組みが必要だともおっしゃっていました。まさにそんな市場の課題を先取りすることで需要は拡大し、先行して実績とノウハウを積み重ねられています。
誰かがやるならまずは自分たちが一歩先んじてイニシアティブを確保することはビジネスを成功に導く基本と言えるでしょう。