敢えて言う、日本の「イノベーション」を牽引するのは大企業だ
ゼネラル・エレクトリック(GE)などに代表される欧米の大企業は、イノベーションが低コストかつスピード勝負になるにつれ、オープンイノベーションへと大きく舵を切りました。そしてスタートアップと共創することで起業家やVCから経営手法を学び、古い衣を脱ぎ捨て、自らを進化させました。大企業もリーン・スタートアップやコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)といった起業家的な手法を採用することで、大企業独自の強みを活かしたイノベーションが増加していく流れがグローバルでは出てきています。日本企業も、これ以上遅れを取るわけにはいきません。硬直化し、時代に取り残されそうになっていたエスタブリッシュメント(大手企業)がイノベーションの担い手から経営手法を謙虚に吸収することで、逆襲できる環境が整ったのです。
米国科学アカデミー(NAS)は2016年9月に公開した報告書の中で「経済成長を長期的に持続させるためには、移民がもたらす人的・物的資本形成と起業家精神、イノベーションへの影響が欠かせない」、そして「移民によるイノベーションは、米国生まれの人たちの生産性を高めることができる。それが、1人当たりGDPの伸びにつながっている可能性は極めて高い」と結論づけています。つまり、米国のイノベーションをけん引しているのは移民の存在だといえます。