新規事業とブランドマーケティング。それぞれの「顧客のジョブ」の探し方とは?

第4回 ゲスト:INDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター 津田 真吾 氏(前編)

 「マーケティング部門のみがマーケティングを行うのか」、同様に「事業開発部門のみが事業開発を担うのか」。本連載では両者に共通する課題と活動から、市場創造とは何かを、それぞれの識者との対談を通じて「新たな示唆」を得ることを目的とした企画である。各部門をとりまく組織間の壁や認識の違いを解消し、デジタルシフト時代に日本企業が飛躍する可能性を模索する。ホストはFICC代表取締役の荻野英希氏。
 対談2人目のゲストには、「クリステンセン『ジョブ理論』入門」などの連載を持つINDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター・津田真吾氏を迎える。INDEE Japanは、クレイトン・クリステンセン教授設立の米国Innosightの日本代表パートナーだ。大手企業を中心に、新規事業開発のコンサルタントやベンチャー企業の支援を行う。荻野氏と津田氏は、本対談が初めての対面となった。

[公開日]

[語り手] 津田 真吾 荻野 英希 [取材・構成] マチコマキ [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] マーケティング 事業開発 ジョブ理論

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「顧客のジョブ」は“作るもの”か、“発見するもの”か

荻野:まずは私も含めて読者の方にも気になっていることをうかがいたいと思います。それはジョブとは「発見するもの」なのか、「作るもの」なのか、ということです。
マーケティングの基本に、「問題提起を行い、解決意欲を抱かせて、その特性・USP(商品独自のスペック)・ブランドへつなげる」というフローがあります。その中で私が一番重視しているのは、問題提起のところです。問題提起はジョブを作ることだと考えていたのですが、ジョブ理論では「ジョブは作れない」とあります。

津田:ジョブを「見つける・作る」は“言葉のあや”に近いですね。たとえば閑散期の2、3月に、集客施策として学生優待の期間を設けているテーマパークがあります。
これは「キャンペーンを作った」といえば作ったとなりますが、実際には「思い出作りをしたいという学生のジョブを発見した」ということ。しかしその発見が、企業としては「自分たちが作ったのだ」というぐらいの勘違いをしないと、パワフルな施策へ落ちないのだと思います。

荻野:ジョブを見つけ、そして形にするために「作った」へ言い換えていると。ああ、納得できました! では、そのジョブを見つけるためにどんな方法があるのでしょうか。

津田:INDEE Japanでは、ジョブ理論をより使いやすくフレームワーク化したJOBSメソッドと呼んでいるものを用います。しかしジョブを発見することの難しさは、見つかっても気づかないことにあります。つまり、“探し物”は何であるか、を分かっていないとダメなのです。

JOBSメソッドJOBSメソッド

津田:どんな探し物もそうだと思うのですが、見つけたいもののイメージを持つことが大切だと思っています。ジョブを見つけるプロセスにおいて「いま見逃しているものの中に、大きなビジネスへつながるジョブがあるはずだ」という仮説は必要ですし、ジョブとは何かという視点やフレームワークを持つほうが見つけやすくなりますね。

津田 真吾津田 真吾氏(INDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター)
日本アイ・ビー・エム、日立グローバルストレージテクノロジーズ、iTiDコンサルティングを経て、イノベーションコンサルティングおよびハンズオン事業開発支援に特化したINDEE Japanを設立。HDDの開発エンジニア時代に「イノベーションのジレンマ」に触れ、イノベーションの道を歩み続けることを決意する。その著者であるクレイトン・クリステンセン設立の米国Innosightと提携し、日本代表パートナーとしてグローバルなネットワークを築きつつ、大手企業の社内ベンチャーやベンチャー企業の支援を手掛ける。日本語版『ジョブ理論』解説者。

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