ユニリーバのマーケター時代に感じた、生活者のインサイトに近づけないジレンマ
荻野英希氏(FICC代表取締役・以下、敬称略):オンライン上のコミュニティで、企業発の質問に対し生活者からアイデアを集め商品開発へつなげるプラットフォームがBlabo!です。まずは、坂田さんがBlabo!のサービスを立ち上げた理由から聞きましょうか。
坂田直樹氏(Blabo代表取締役CEO・以下、敬称略):僕はもともと、ユニリーバ・ジャパンで商品開発のマーケターをしていました。外資系企業のためか商品のローカライズも多く、なかなか日本のユーザーインサイトに合わせた開発ができないというジレンマがあったんですね。そのうち、生活者の本音を発見し、その方たちのために製品を開発したい、生活者と直接会話をしたいと考えるようになったんです。
荻野:「直接」というのがポイントですよね。ユニリーバのときも、グループインタビューや調査を通してニーズの分析やヒアリングをされていたはずですが、その方法ではインサイトが発見できなかった?
坂田:もちろん気づきはありましたが、グループインタビューなどでは想定内の発言が多く、なかなか深い本音を発見するのは難しかったですね。商品開発者・マーケターとして考えたときに、生活者の本音をズレなく知りたい、だから直接つながりたいというのは必然でした。その方法を考えるヒントになったのが、Twitterです。ちょうどBlabo!の構想を考えていたころにTwitterが登場し、自分の考えを世の中へ発信するという風潮ができつつありました。
そこで「考えるテーマがあれば、いい発想ができる」という日本人らしさに着目し、「企業の課題について、生活者が思わず答えたくなるような問いを投げかける」という企画会議の場を作ったら、おもしろがるんじゃないか、と仮説を立てたんです。