有機的な組織が不確実性に有効という結論を、なぜ『ティール組織』は蒸し返すのか?

座談ゲスト 特定非営利活動法人 場とつながりラボhome’s vi 代表理事 ファシリテーター 嘉村賢州氏、株式会社アクション・デザイン 代表取締役 加藤雅則氏 vol.2

 今回は今年1月に邦訳が刊行されて話題を呼んでいる『ティール組織』の解説者で、早くからその可能性に注目してきた嘉村賢州氏、コーチングや対話型の組織開発により日本の組織を活性化するという課題に長く取り組み、『組織は変われるか』等の著作がある加藤雅則氏を迎え、日本におけるティール的な実践や、組織を変える方法について語り合った。本稿は、前回に続き、嘉村氏の解説を交えつつ4氏がそれぞれの立場からみたティール組織を語る対話の、後編をお届けする。

[公開日]

[語り手] 嘉村 賢州 加藤 雅則 宇田川 元一 武井 浩三 [取材・構成] やつづかえり [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発 組織変革 組織開発 ホラクラシ― ナラティブ・アプローチ ティール組織 自主経営 助言プロセス ホールネス 存在目的 複雑系マネジメント

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『ティール組織』の3つのブレイクスルーとは?

嘉村賢州氏(特定非営利活動法人 場とつながりラボhome’s vi 代表理事 ファシリテーター/『ティール組織』解説者、以下敬称略):『ティール組織』の著者のラルーさんは、ティール組織を特徴づけるものとして3つのブレイクスルーがあると言っています。それは、自主経営(セルフ・マネジメント)、全体性(ホールネス)、存在目的です。

■自主経営(セルフ・マネジメント)
セルフ・マネジメントというと、自己管理ができる個人の集合体のようにイメージされがちですが、ここで言われているのはそういうことではなく、組織のマネジメントの形態を表しています。
グリーンまでの組織では、意思決定をする時に大きく2つの方法がありました。ひとつはリーダーに決めてもらう方法。下からの提案も上の承認があれば実行できるという、上下関係によるプロセスです。もうひとつは会議にかけてその中で承認を得るという方法です。
ティール組織ではどちらの方法もあまり使わず、「助言プロセス」という方法をよく使います。それは、誰でも意思決定ができる、ただしその決定によって影響を受けそうな人や、その提案に対して専門性が高い人にアドバイスを求めた上で決める、というものです。アドバイスは真摯に考慮しつつ、提案者が自分で決められるんです。これは、組織内に他責文化がなくなる画期的な方法だと思います。

■全体性(ホールネス)
助言プロセスによる決定方法では個が際立っているように感じられますが、個は全体の中の一部だとするのが、ふたつ目のブレイクスルーである「ホールネス」の考え方です。組織の全体性も、個人の全体性も大事にします。
これまでの組織では、ある人がひとつの職種に就いて定年まで終えるということもありましたが、それはその人の全体性の一部しか使っていないことになり、組織にとっても機会損失である、というのがラルーさんの考え方です。人は様々な側面を併せ持っているものですが、感情やスピリチュアリティなんかも含め、安心してその全部を出せるような職場を作っていきましょう、というのがホールネスの考え方です。
ティール型の組織では複数の役割を持つことも歓迎されていることが多く、それぞれが自分の人生のタイミングに合わせて流動的に役割を変えていくのが特徴だと思います。

■存在目的
3つ目のブレイクスルーが「存在目的」です。本で取り上げられたティール組織には、中長期の事業計画のようなものをもっている組織がほとんどなかったそうです。多くの企業では一人ひとりがセンサーになり、その時々の時代の状況や周辺環境、あるいは組織の中の状況に対し、事業内容や組織形態を臨機応変に変えながら対応していっていたんです。
ある人はそれを、こう説明してくれました。
「子供の人生を親は決めませんよね。会社もそうなんです。オーナーや創立者が組織を作ったとしても、その存在目的を決めることはできない。探求することしかできないんです」と。組織というのは、あらかじめ固定されたビジョンに向かっていくようなものではないというわけです。

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