Kaizen Platformとは、その社名の通り、Webサイトの継続的な「改善」を行う企業。Webサイトの改善をしたい企業と、在宅ワーカーやフリーランス、個人事業など多様な働き方をおこなう人をグロースハッカーとして育成・マッチングさせている。年次でおこなわれているこのイベントでは、「グロースハッカーアワード」の表彰や新しい雇用や働き方に関するセッションが行われている。この日も、開会前に「グロースハッカーアワード2018」の表彰がおこなわれた。(表彰内容は記事末)
世界は落下している
基調講演に登壇した須藤CEOが最初に語った言葉は「世界は落下している」というもの。強い重力によって、世界がある方向に向けて牽引されているイメージを持っているという。この変化を象徴する方向性を3つに定め、今回のイベントのテーマにしたと須藤氏は言う。その3つとは「消費者圧力の増大」、「モバイルへのシフト」、「今後の社会と働き方の変化」だ。
まずはじめに「消費者圧力の増大」について。
ここ最近、ソーシャルやWebでは炎上が後を絶たない。須藤氏自身もブログからの炎上を時たま経験しているという。炎上は日本だけではなく韓国、米国、ヨーロッパでも頻繁に起きている。この背景にあるのが「消費者からの圧力」だと須藤氏は言う。良くも悪くも、これまで見えなかったユーザーとしての消費者の意見が可視化されてきたということだ。
たとえば、差別やテロを助長するような内容や、フェイクニュースのようなコンテンツの記事や動画にスポンサー広告が表示されると企業のイメージは大きく損なわれる。消費者はそのメディアに対してではなく。広告主に対して圧力をかける。一昨年、日本でも問題になったキュレーションメディア騒動を受け、グーグルは検索アルゴリズムを変更したことは記憶に新しい。このことはWebのクリエイティブ制作にも影響を及ぼす。
オーガニックなマーケティングが求められている
今やインターネットメディアや企業のWebサイトは、ユーザーに対して一方的に情報を伝達するだけでは成り立たない。SNSで可視化されるユーザーの反応だけではなく、広告もまたユーザーへの配慮がなければ離反を招く。すでにネットの大手はこの動向に敏感だ。例えば、AppleはiPhoneのサードパーティによるクッキーの履歴を24時間に制限し、グーグルはクロームのブラウザに広告ブロック機能を付加した。
たとえ無料コンテンツであったとしてもUXを損なうディスプレイ広告や、PVやインプレッションを獲得するためのチープなコンテンツはサイトの価値を下げていく。消費者を欺いたり、誤解させるような小手先の「釣り」の手法は無効なのだと須藤社長は言う。そして今求められているメディアと消費者の関係は「オーガニック」なものだという。
「オーガニックなマーケティング」が求められています。消費者として本当はこうあって欲しくないというものは受け入れられません。本質をどうやって伝えていくかが問われています。
メディアやコンテンツの制作に関わる者にとって、このトレンドは無視できない。その感覚を身につけるためには「自分や自分の家族にとってどうなのか、と問いかけること」だという。