コーン・フェリーとグロービスは、2026年2月6日に日本の大手上場企業を対象としたCEO(最高経営責任者)の育成実態調査の結果を公表した。本調査は、経営幹部のサクセッション(後継者育成)プロセスや、日系・欧米企業における取り組みの比較を主眼においている。
欧米企業においては、CEOの約80%が内部昇格であり、外部採用は約20%にとどまる。外部から登用されたCEOの平均在任期間は7.0年と、内部昇格CEOの9.3年より短い。経営戦略の大転換や構造改革など、特殊な状況でのみ外部人材が選ばれる傾向が強く、社内候補人材プールの充実が重視されているという。
CEO候補者の発掘は30代前半には始まる企業が多く、即時的な実力よりも「ラーニングアジリティ(成長力)」を価値の中核と考えている。「サクセスプロファイル」と呼ばれる経営戦略や時代背景を考慮した育成指標をもとに、ストレッチの効く経験を意図的に付与し、多様な判断・胆力・全社視点を身につけさせている。
候補者育成の責任者は、直属上司に加え、経営陣やCHRO(最高人事責任者)が積極的に関与し、成長度合い・必要な経験と能力を適時見直す仕組みが欧米では浸透しつつある。適度な負荷をかけた環境で、成長の伸び悩みが現れた場合は、候補者プールから外すといった判断も行われている。職位が上がるごとに育成投資額も増加し、エグゼクティブMBAやアセスメント、コーチングなどへの投資が顕著である。
一方、日本企業では、経営幹部候補の発掘が仕組み化されてきたが、CEO候補の絞り込みは現CEOや限定的な経営陣の裁量に頼る例が多い。CEOに必要な視座や胆力を育むため、「P/L責任を伴う事業経験」「海外経験」「複数部門の異動」などの機会が意図的に設計されているが、有力人材を事業部門が囲い込むことで、候補育成の幅が狭まる実態も浮き彫りとなった。また以前より、候補者の初期発掘を若手層に広げる動きもみられる。
CEO育成の責任は、従来の個人裁量型からCEOとCHROの二人三脚体制への移行が進行し、経営チーム全体での関与が増加。一方で、指名委員会が最終選抜のみを担うケースが多く、今後は透明性・客観性・協働の仕組みづくりが重要な課題とされている。育成支援としては、「胆力」「覚悟」といった非認知能力を磨く機会設計やコーチングの重視、役員以上の層にも外部知見のインプットを求める重要性が指摘されている。
調査を通じて、企業ごとに異なる背景に即した育成戦略の意図的な設計と、文化醸成・CHROの寄り添いが成否を分ける重要な要素だとしている。
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