“自分都合のアイディア”で墓穴を掘っている日本企業は、「バイアス」で視野が狭くなっている
GoogleやAmazonといったグローバル企業の存在感が強まる反面、国内外いずれの市場において、日本企業に勢いは感じられない。このような停滞した状況に陥っているのはなぜなのか。市場の成熟化などの要因は認めつつも、私たちはその大きな要因が次のようなポイントにあると考える。
企業が自分都合のアイディアしか生み出せていないから。
たとえばUberやAirbnbは消費者の共感を得ているが故に成功している。しかし、日本企業の多くの商品開発や事業開発は、消費者の存在を見ず、自分たちの都合で考え作ったものばかり送り出している。そのため、世界から支持を受けるような共感を獲得することができず、状況の停滞を招いている。
なぜ企業は自分都合の考え方に陥ってしまうだろうか。最も大きいのは「バイアス」の問題である。プロフェッショナルとして高度な技術を習得していくことは、思考のバイアスを獲得してしまう行為、と言い換えられる。
企業(およびそこに所属する人々)は、自社が扱う商品やブランドはもちろん、市場やカテゴリーにおけるプロフェッショナルである。他の誰よりもそれらについて知っているといっても過言ではない。だからこそ、自らの市場で起こっている重要な事実を見逃す、あるいはそれを無視したり軽視したりしてしまう、という過ちを犯すリスクも高い。だが、そのようなリスクに多くの企業は無自覚である。バイアスのかかった目で情報を収集し、分析し、アイディアを発想し、判断を下していることが多い。