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意思決定マトリクスやバリューチェーン分析など、役立つフレームワークを活用するために

 問題や課題を解決する、あるいはそもそも発見するためにフレームワークの活用は欠かせません。自分が今何に悩んでいるのかを把握したら、やみくもに考えを広げるよりも適切なフレームワークを使うべきです。『ビジネスフレームワーク図鑑』(翔泳社)から、役立つフレームワークを4つ紹介します。

[公開日]

[編] 渡部 拓也

[タグ] ビジネススキル

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本記事は『ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70』から一部を抜粋し、編集したものです。

意思決定マトリクス:定量的・客観的に選択肢を評価する

意思決定マトリクス

基本情報

「意思決定マトリクス」は、課題やアイデアなど、複数の選択肢を評価・選定する際に活用する手法の1つです。複数の選択肢がある状況で意思決定を行う際、定性的な情報や主観だけに頼るのではなく、定量的・客観的に評価するために活用します。

 個人での活用はもちろん、アンケート形式にして複数人で使うことも可能です。複数人で活用する場合は、評価項目の意味や定義をメンバー間で共有しておくことが重要です。基本的には得点の高い選択肢を採用することになります。ただし、必ずしも最高数値のものを選択しなければいけないわけではありません。定性的な情報、定量的な情報のどちらか片方に頼るのではなく、両方の要素を考えたうえで最終的な意思決定を行うことが大切です。

使い方

(1)評価対象を整理する

 評価の対象となる選択肢を整理して記入します。緊急度/重要 度マトリクスで例に出したような、取り組みたい課題の候補などが選択 肢になります。課題の概要が伝わる必要最低限の情報を記入することがポイントです。

(2)評価項目と重みを設定する

 評価項目とその「重み」を記入します。重みとは、その 評価項目をどれだけの比重で点数化するのかというものです。左の例では「緊急性 (x1.0)」「実現性(x1.0)」「収益性(x2.0)」「将来性(x2.0)」の4つを設定しています が、この項目と重みは目的に応じて設定します。

例 評価項目

 緊急性、重要性、実現性、収益性、効果性、将来性、インパクト、優位性、展開性など

(3)評価を行う

 選択肢と評価項目が準備できたら、実際に各項目を点数化し、評価して いきます。全項目について点数化したら、右の列に合計点を集計します。ここで数値と して可視化された情報をもとに、意思決定へと進みます。

思考が加速する問い

●普段、意思決定のシーンで何に悩むか?
●すべての選択肢を実行することは無理か?
●加点法で考える? 減点法で考える?
●課題が解決された世界を最もイメージできるものはどれ?

CHECK POINT

□妥当な評価ができている(特に個人で実施した場合は、第三者にチェックしてもらう)
□直感とのズレがある場合は、そのズレについて考えられている
□着手する課題が決定できている(もしくは絞り込めている)

バリューチェーン分析:事業の運営プロセスを分解して分析する

バリューチェーン分析

基本情報

 企業が顧客へ提供する価値の連鎖(つながり)を可視化する手法である「バリューチェーン」 を活用し、自社や他社につい て分析する手法が「バリューチェーン分析」です。活動を切り分けて考えることで、競争優位性 を細かく分析したり、各活動のコストや貢献度を分析したりすることができます。

 バリューチェーン分析にはさまざまな形式が存在しますが、ここではバリューチェーンの中の 「主活動」に着目し、競合の活動を分析するフォーマットを紹介しています。まず主活動を切り 分けし、各活動をもう一階層下げた「小プロセス」に分解して考えることで、それぞれの活動の 特徴や、競争優位性を生み出している要素を分析します。

使い方

(1)バリューチェーンを可視化する

 分析の一歩目はバリューチェーンの把握です。バリ ューチェーンは業種ごとに異なるため、自社や自社の属する業界における主活動部分を 可視化する必要があります。

例 通信業と小売業のバリューチェーン

通信業と小売業のバリューチェーン

(2)情報収集と分析を行う

 各活動のプロセスをもう一階層掘り下げます。細分化した活 動プロセスの名称と、そこで行われている活動の内容や特徴について情報収集し、整理 します。複数の企業を比較する場合は、各活動プロセスの特徴を簡潔にまとめ、一覧で 整理するとよいでしょう(読者特典のダウンロードファイルの中に、一覧形式のフォー マットも用意しています)。

思考が加速する問い

●価値提供の活動の中で、顧客が意識するプロセスは何?
●同じ業種でもバリューチェーンが異なる企業は?
●独自性の出やすい活動プロセスはどこ?
●分析対象の企業がなくなったら、誰がどう困る?

CHECK POINT

□業界に合ったバリューチェーンを把握できている
□各活動の工夫点と、そのために必要なコストの目安がわかっている
□競合ごとの特徴を整理できている

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント:自社事業の全体像を俯瞰し、戦略を考える

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

基本情報

「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」とは、「市場成長率」と「相対的マー ケットシェア率」を軸としたマトリクスを使って、自社の保有する事業の分析と戦略設計を行う ためのフレームワークです。4つの象限は、それぞれ「花形事業」「問題児」「金のなる木」「負 け犬」と呼ばれ、保有する事業の規模を円の大きさで表現します。

 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントには「市場成長率の高い事業ほど、業界の変化や 競合他社の動きが活発なため、資源が必要となる」「相対的マーケットシェア率が高い事業ほど 利益を上げやすい」という前提があります。各事業は収益獲得が目的なのか、未来を開拓するた めの投資目的なのかを明確にし、戦略的な資源の投下先を検討しましょう。

使い方

(1)保有する事業を書き出す

 マトリクス上に自社の保有する事業を書き出します。この とき、事業の売上規模を円の大きさで表現します。付箋などを使って書き出す場合は、 マークを書き込んだり、色を変えるなどして、一目で規模の違いがわかるようにしま しょう。

(2)今後の方針を考える

 それぞれの事業に関して、今後どのような戦略をとっていくか という方針を考えます。ポイントは「金のなる木」の象限にある事業から生まれる収益 を「問題児」の事業に注ぎ、シェア率を上げ、「花形事業」に育てることです。

補足 「問題児→花形事業→金のなる木」の流れを意識する

「問題児」を「花形事業」に移行できれば、収益性が高まり、企業の利益につながりま す。そして、「花形事業」は、市場の成長が止まるのに伴い「金のなる木」へと移行し ていくという流れになります。戦略を設計する場合は、この流れを意識することに加 え、多少リスクを取ってでも「問題児」の事業に資源を注ぐことと、そのための体制づ くりをいかに行っていくかを考えることが大切です。

思考が加速する問い

●現在、積極的に資源を投下している事業はどれか?
●事業全体で考えるとどうか?
●事業の中の一部で考えるとどうか?
●育てられそうな「問題児」事業はあるか?

CHECK POINT

□各市場が伸びているのか縮小しているのかを把握できている
□自社事業の全体像を把握できている
□今後、どの事業に資源を優先的に集中させていくべきかという方向性が見えている

Will/Can/Must:最も高いパフォーマンスが発揮できる場所を探す

Will/Can/Must

基本情報

「Will/Can/Must」は、「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「やるべきこと (Must)」の3つの要素で業務を整理することで、最もやりがいを持って取り組める業務を見つ け出すフレームワークです。組織としての目標や行動に加えて、現場のメンバーがやりたいこと を考え、すり合わせることが、組織のパフォーマンスを高めるためには必要です。各メンバーが どのような業務をやりたいのか、現在は何に情熱を持っているのかを共有します。

 ここでは、ワークショップ形式で使う場面を想定していますが、最終的にはテキストデータと して保管しておくとよいでしょう。なお、Will、Can、Mustの内容は時の流れとともに変化する ため、定期的に整理するのがオススメです。

使い方

(1)Willを書き出す

 事業や業務、社会の中で担いたい役割など、自分がやりたいこと を書き出します。既存の取り組みはもちろん、まだ着手したことのない内容も含めて考 えます。規模の大小にかかわらず、思い浮かぶものはすべて書き出しましょう。

(2)Canを書き出す

 得意分野や専門スキル、経験など、自分ができることを書き出し ます。今はできないが、能力を磨くことで近い未来に実現できそうなことも含めて構い ません。

(3)Mustを書き出す

 自分がやるべきことを考えます。組織や世の中から求められてい ることは何か、最低限担う必要のある役割は何か、経営目標を考えると何をすべきか、 といった視点で考えていくとよいでしょう。

(4)重なるポイントを探す

 (1)~(3)を書き出したら、それらが重なる部分を探します。 そして、その部分をどうやって活かしていくかを考えます。なお、今回は(1)~(3)の順 に書き出す方法を紹介していますが、書きやすいところから書き始めて構いません。

思考が加速する問い

●現在のWill:Can:Mustの比率はどれくらい?
●自分の業務の中で人から喜んでもらえることは?
●気付けば没頭している業務はあるか?
●人生の目的は何か?

CHECK POINT

□Will、Can、Mustの領域が重なる業務がある、もしくは想定できる
□重なる部分を増やすためにできそうな、今後の工夫を考えられている
□組織としてのWill、Can、Mustも明確である(組織レベルでも活用可能)

フレームワークの活用で差がつく

 フレームワークは知っているだけでは意味がありません。いかにして活用すればいいのか、その使い方が要です。『ビジネスフレームワーク図鑑』では、今回紹介したものも含めて7つのシーンで使える70のフレームワークを紹介しているので、いま考えるべき事柄を把握し、最適なフレームワークを使ってみてください。

ビジネスフレームワーク図鑑

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ビジネスフレームワーク図鑑
すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

著者: 小野義直
発売日:2018年8月29日(水)
価格:2,160円(税込)

●フレームワークの考え方も解説
●場面に合わせてサッと探せる

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