自由と他由を履き違えずに「まずは、ネコになることから始めましょう」
坂崎 絢子さん(以下、敬称略):ここからは、会場からの質問タイムに移ります。
藤野英人さん(以下、敬称略):まず1問目、ズバリ、「トラリーマンになるための最初の一歩は?」だそうです。
仲山進也さん(以下、敬称略):うーん、僕は別にトラリーマンを目指してこうなったわけじゃないですからね。「最初にこれをやればいい」というものではないのかなと。
藤野:ご紹介した動物キャラの区分でいうと、割と大事なポジションになってくるのがネコ。誰もがトラリーマンになれるわけじゃないけれど、「ネコリーマンになってみましょう」と言われたらハードルが下がると思うんですよね。生産性はトラより高くないかもしれないけれど、組織にいながらにしてのびのび生きるスタイルは目指せる。チャレンジする気概がある人はトラになり、そこまで頑張れない人はネコでいいんです。
仲山:トラにしてもネコにしても、要になるのが「自由」の定義。僕は今回の本のタイトルに「自由」と入れるにあたって、「自由とは何か」を定義しなきゃいけないなと思ったんです。
一般的なイメージとして、自由というと「好き勝手」とか「ワガママ放題」みたいなネガティブなニュアンスが含まれて、「自由に働くって、ハワイでバカンスしてたらATMに入金されるみたいなことですか?」とか勘違いされますけど、僕の感覚では全然違っていて。
自由は「自分に由(よ)る」と書きます。つまり「自分に理由がある」のが自由。数ある選択肢の中から自分の価値基準で決めて選び取っている状態です。自由の対義語には、束縛とか統制とか強制などがありますが、僕の考える対義語は「他由」です。他人に言われたからやる、という「他人に理由がある」状態では、自由とは言えないのだと解釈しています。
藤野:要するに、源が自分にある。発信源はいつも自分であり、自分主体で行動することが自由。他人に委ねる生き方は他由なんですね。
仲山:「世の中で一流と言われているから」という理由で受験する学校や就職する会社を決めるのも他由的。一方で、他人に言われた指示であっても、自分なりに価値を見出して自発的に動けているのなら、他由から自由にうまく転換できているということ。そんなイメージです。