Strategy&が実施したこの調査は、研究開発が企業の業績に及ぼす影響などについて評価を行い、高い費用対効果を生む手がかりを探るために毎年実施しているもの。研究開発に多額の費用を投入した世界の上場企業のトップ1,000社を「グローバル・イノベーション1000」として調査対象としている。
2018年調査におけるR&D支出トップ1,000社のR&D支出額は、7,820億米ドルと、前年比11.4%増加し、調査開始以降の最高額だった。また、2011年(10.3%)以来7年ぶりに前年比10%以上の成長率を記録したという。1,000社の売上高は、17.4兆米ドルと前年比11.4%増加し、2012年(12.0%)以来6年ぶりに前年比10%以上の成長率となったとしている。
トップ1,000社内には、日本企業が160社ランクインしている。そのR&D支出額は合計1,170億米ドルで、R&D支出額(5.9%減)、ランクイン企業数(11社減)ともに前年に比べ減少傾向となったという。
産業別にみると、R&D支出額が多い産業上位3位は、コンピュータ・エレクトロニクス(22.5%)、ヘルスケア(21.7%)、自動車(16.0%)だった。
調査を担当したPwC Strategy&米国のプリンシパルであるバリー・ヤルゼルスキは「今世紀、ビジネスの競争はより激化し、イノベーションの卓越性の基準も高まっています。今年の投資総額は記録的高水準となりましたが、イノベーションの卓越性そのものは、R&D支出を単純に増やすことで手に入れられるものではありません。それは、企業のイノベーション・サイクル全体における戦略、文化、経営層の関与、顧客に対する深い洞察、そして研ぎ澄まされた実行といった緻密な配慮の結果であると私たちは分析します」と語った。