人に仕事をお願いする9つの心得
仲山進也さん(以下、敬称略):著作がない人を発掘するという仕事のスタイル(前編参照)は、どんなふうにできあがっていったんですか?
岩佐文夫さん(以下、敬称略):最初に入った会社の規模が決して大きくなかったので、すでに何万部も売れている著者に書いてもらうのは難しかった。となると、将来売れるだろう人を見つけてくるしかない。まだ著書はないけど、出せば多くの読者を惹きつけるに違いない。そういう人を探して、口説く。
仲山:その口説く時の流儀というのが、冒頭(前編)に言った僕が読んでシェアした記事(「人に仕事をお願いする9つの心得」)の内容ということなんですね?
岩佐:はい。ポイントは、相手に絶対に損な気持ちにさせないことと、「なぜあなたにお願いしたいのか」をきちんと伝える。例えば、「もし僕が断ったらどうします?」と聞かれたら、「代案にこういう人を考えています」ということまで答える。
仲山:自分がどういう位置付けで頼まれたか、よく分かりますね。
岩佐:そう、道筋を全部オープンにする。「だけど、一番にあなたに頼みたいんです」と伝えて、依頼内容は具体的に。どこからどこまでお願いするのかという範囲、期限を動かせるとしたらここまで、連絡方法の確認も。そして、仕上がりイメージを伝えて、あとは託す。相手がアウトプットを出してくれた後に感謝を伝えるのは当然だけど、御礼だけじゃなくて「何が良かったか」を明確に示します。その人にとっても何か発展のきっかけになり、仕事をしてよかったと思ってもらいたいという気持ちがあります。
仲山:ありがちなのが、依頼時はやたら丁寧だったのに、アウトプット出した瞬間にパタリと連絡来なくなったり。あれは寂しいですよね。
岩佐:たとえ期待したような成果が出なかったとしても、「一緒に仕事をしてくれたことで、こういう学びを得ました」と伝えるようにはしています。
仲山:Yahoo!の安宅さんも「だから岩佐さんから頼まれた仕事は、気持ちよく進められるんだな」みたいなコメントをされてましたよね。